町工場のホームページで問い合わせにつながるのは、発注担当者が図面を送る前に「この工場で、この材質・大きさ・数量・精度の部品ができるか」を判断できる情報です。設備一覧は機械の型式を並べるだけでなく、加工できる最大の寸法・積載・測定機器まで書き、加工事例は材質・サイズ・数量・精度・工程・難しかった点の6つの欄で1件ずつ書きます。取引先の図面や部品の写真は、契約を確かめて了承を取ってから載せ、了承が取れない分は社内サンプルで示します。特許を出願する予定の技術は公開の前に確かめ(特許法第29条・第30条)[3]、ISO認証のマークは認証機関の使用規則に沿って登録範囲を明記して載せます[1](2026年10月29日確認)。
町工場のホームページで、発注担当者は何を確かめている?
町工場のホームページでは、発注担当者が手元の図面の部品をこの工場で作れるかどうかを判断できる情報を、最初に見つけられるようにします。会社の歴史や社長のあいさつより先に、材質・大きさ・数量・精度・納期の答えを置きます。
発注担当者がサイトを開くとき、多くの場合は手元に図面か仕様のメモがあります。新しい加工先を探す理由は、今の加工先で受けられない、納期が合わない、量産から試作に戻った、など具体的です。そのため、読み手の頭の中にある問いはかなりはっきりしています。
| 発注担当者の問い | 答えを書く場所 | 答えが無いと起きること |
|---|---|---|
| この材質を扱えるか(SUS304、A5052、チタン、樹脂など) | 対応材質の一覧・加工事例 | 材質ごとに電話で聞く手間がかかる |
| この大きさが機械に入るか(最大寸法・重さ) | 設備一覧の加工範囲 | 図面を送ってから断られる |
| 何個から何個まで受けるか(試作1個〜量産) | 加工事例の数量・対応ロット | 小ロットの依頼をためらう |
| 求める精度が出るか(公差・面粗さ) | 加工事例の精度・測定機器の一覧 | 品質の判断ができない |
| 見積もりがいつ返ってくるか | 問い合わせページ | 急ぎの案件をほかへ回す |
| 図面を送っても外に出ないか | 問い合わせページ・会社情報 | 図面の送付をためらう |
読み手は1人とは限りません。設計の担当者は形と精度、購買の担当者は価格と納期、品質の担当者は測定と記録、というように見る所が分かれることがあります。1つのページにすべてを詰め込むより、問いごとにページを分け、どのページからも問い合わせに進めるようにしておくと、誰が読んでも必要な所へたどり着けます。
この6つが分からないサイトは、比べる材料が無いため、図面を送る前の段階で候補から外れるおそれがあります。逆に言えば、文章がうまくなくても、数値がそろっていれば比べてもらえます。暖簾AIが2026年10月29日に9業種のトップページを機械的に調べた記録でも、工事の業種では「施工事例」「事例」「実績」の文字を載せるサイトが多く出ました(業種でホームページの何が違うかの実測)。製造業は調査の対象に入っていませんが、比べる材料をトップから見せる考え方は共通しています。
トップページの最初の画面で答える1行
トップページの最初の画面には、会社の理念より先に、何を作る工場かを1行で書きます。加工方法・材質・ロット・地域の4つを入れると、発注担当者は数秒で自分の案件に合うかを判断できます。
| 伝わりにくい1行 | 判断できる1行(例) |
|---|---|
| 「ものづくりで未来をつくる」 | 「アルミ・ステンレスの切削加工。試作1個から月1,000個まで」 |
| 「技術と信頼の〇〇製作所」 | 「φ250 mm までの旋盤加工と5軸加工。〇〇県〇〇市の町工場」 |
| 「お客様のニーズにお応えします」 | 「図面をいただいてから3営業日で見積もり。秘密保持契約も先に結べます」 |
理念や社長のあいさつは会社情報のページに置き、トップからリンクします。採用の情報も大切ですが、発注担当者と求職者では知りたい事が違うため、トップでは入口を分けて置くと、どちらの読み手も迷いにくくなります。
なお、マッチングサイトや一括見積もりのサイトで候補に入った後に、会社名で自社サイトを確かめる発注担当者がどれくらいいるかは、暖簾AIは測っていません。それでも、外部のサイトに載せきれない設備や事例を確かめる先として、自社サイトは残ります。外部のサイトと自社サイトの役割の違いは予約サイトに頼る業種、自社サイトが効く業種で業種ごとに整理しています。
設備一覧には何を書けばよい?
設備一覧には、機械の名前と型式に加えて、その機械で自社が実際に受けている加工範囲を書きます。型式だけの表では、発注担当者が加工範囲を自分で調べる手間がかかります。
よく見る設備一覧は「設備名・メーカー・型式・台数」の4列です。これに「加工範囲」と「主な用途」の2列を足すだけで、表の役割が「持っている物の一覧」から「受けられる仕事の一覧」に変わります。
| 設備 | メーカー・型式 | 台数 | 加工範囲(例) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 立形マシニングセンタ | 〇〇社 〇〇〇 | 3 | X 800 × Y 500 × Z 500 mm、テーブル積載 500 kg | アルミ・SUSのブロック部品、治具 |
| 5軸マシニングセンタ | 〇〇社 〇〇〇 | 1 | φ400 × 高さ 300 mm まで | 複雑形状の一体部品 |
| CNC旋盤 | 〇〇社 〇〇〇 | 2 | 最大加工径 φ250、最大加工長 400 mm | シャフト、フランジ |
| ワイヤー放電加工機 | 〇〇社 〇〇〇 | 1 | 最大板厚 200 mm | 金型部品、精密な抜き形状 |
| 三次元測定機 | 〇〇社 〇〇〇 | 1 | 測定範囲 700 × 1000 × 600 mm | 出荷前の寸法検査 |
表の型式と数値は書き方を示す例です。自社の機械と、実際に受けている範囲に置き換えます。
カタログの値ではなく、受けている範囲を書く
機械のカタログに載る最大値と、自社が実際に受けている範囲は同じとは限りません。治具の都合、段取りの時間、精度の出し方によって、カタログ上は入っても受けない大きさがあります。その場合は「800 mm まで(それ以上はご相談)」のように、実際の線を書く方が、断る手間も、期待とのずれも減ります。
測定機器は加工機と同じくらい大切
精度を求める発注担当者は、加工機だけでなく、測った記録を出せるかを見ています。三次元測定機、画像測定機、表面粗さ測定機、硬さ試験機などは、加工機と同じ表か、すぐ下の表に並べます。「検査成績書の発行:可(様式はご相談)」のように、出せる書類も書いておくと判断の材料になります。
書き方の言い換え
| 例 | 伝わりにくい書き方 | 比べられる書き方 |
|---|---|---|
| 例1 | 「最新鋭の設備を多数そろえています」 | 「マシニングセンタ3台(最大 X 800 mm)、5軸1台」 |
| 例2 | 「大物から小物まで対応」 | 「φ5〜φ250 mm、長さ 400 mm まで。重さ 500 kg まで」 |
| 例3 | 「高精度加工が得意」 | 「内径公差 ±0.01 mm の実績あり。三次元測定機で全数測定も可」 |
| 例4 | 「小ロットもOK」 | 「試作1個から。量産は月1,000個程度まで」 |
設備の写真は1台ずつ撮り、表の行から写真へ、写真から表の行へ行き来できるようにします。写真の整え方は後の節で扱います。
対応材質の一覧も設備の近くに置く
材質は、発注担当者が図面の材質欄を見てそのまま探す言葉です。「金属全般」のようなまとめ方ではなく、図面に書かれる記号で並べ、扱いの多さや注意を添えます。
| 区分 | 記号の例 | 扱い | 添える説明の例 |
|---|---|---|---|
| アルミ | A5052、A6061、A7075 | 多い | 「A7075 は在庫あり。短納期の試作に対応」 |
| ステンレス | SUS303、SUS304、SUS316 | 多い | 「SUS316 の薄肉は事前にご相談」 |
| 鉄鋼 | SS400、S45C、SCM435 | あり | 「熱処理は協力会社への外注」 |
| 銅合金 | C1100、C3604 | 少ない | 「小物部品のみ」 |
| 樹脂 | POM、MCナイロン、PEEK | あり | 「寸法の変化が大きい形状はご相談」 |
| 難削材 | チタン、インコネル | 実績を書く | 「チタンは試作のみ。量産はご相談」 |
記号と扱いは書き方の例です。自社で実際に加工している材質だけを載せます。
受けられない仕事の条件も書く
受けられない仕事の条件は、ホームページに具体的に書いた方が、合わない問い合わせと断る手間を減らせます。最小ロット、最大寸法、扱わない材質、受けない工程を、設備一覧や問い合わせページの近くに書いておきます。
| 条件 | 書き方の例 | 置く場所 |
|---|---|---|
| 大きさ | 「外形 800 mm を超える部品はお受けしていません」 | 設備一覧の下 |
| 材質 | 「マグネシウム合金は扱っていません」 | 対応材質の一覧 |
| 数量 | 「月1万個を超える量産は、協力工場とのご相談になります」 | 対応ロットの説明 |
| 工程 | 「熱処理・表面処理は協力会社への外注です」 | 加工事例の工程欄 |
| 納期 | 「特急は3営業日から。内容によりお受けできない場合があります」 | 問い合わせページ |
断る条件を書くことは、受けられる仕事の範囲をはっきりさせることでもあります。外注の工程を正直に書くと、工程の全体を1社でまとめてほしい発注担当者にとっては、どこまでを任せられるかの判断材料になります。
費用の目安を載せる場合は、「試作1個 〇〇円から」のような表示が、実際の条件と合っているかに注意します。工事の業種向けですが、「〇〇円から」の表示の考え方はリフォームの「〇〇円から」表示で扱っています。発注先が事業者だけの取引でも、表示と実際がずれれば信用を落とします。
加工事例は何を書けば比べてもらえる?
加工事例は、材質・サイズ・数量・精度・工程の5項目と、難しかった点の説明を1件ずつそろえると、発注担当者が自分の図面と比べられます。写真と部品名だけの事例では、どの精度まで出せるかが伝わりません。
加工事例の書き方:説明用の架空例
前と後「ステンレス部品の加工事例です。高精度な加工が得意です。」材質の種類・大きさ・数量・精度・工程が分からず、自分の図面と比べられない
- 材質SUS304
- サイズφ60 × 120 mm
- 数量試作5個 → 量産 月300個
- 精度内径公差 ±0.01 mm・面粗さ Ra0.8
- 工程旋盤 → マシニング → 表面処理(外注)→ 測定
- 難しかった点薄肉のびびりを治具の固定位置で抑えた
数値は説明用の架空例です。実際の事例は、自社で加工した記録の数値で書きます。
図のAFTERの形を、事例1件の決まった型にします。6つの欄の意味は次のとおりです。
| 欄 | 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 材質 | JISの記号など、図面に書かれる呼び方 | SUS304、A5052、S45C、POM |
| サイズ | 外形の寸法。重さがあれば重さも | φ60 × 120 mm、約0.8 kg |
| 数量 | 試作と量産の別、個数、頻度 | 試作5個 → 量産 月300個 |
| 精度 | いちばん厳しかった公差と面粗さ | 内径公差 ±0.01 mm、Ra0.8 |
| 工程 | 社内の工程と外注の工程 | 旋盤 → マシニング → 表面処理(外注)→ 測定 |
| 難しかった点 | 課題と、どう解決したかを2〜3行 | 薄肉で加工中にびびりが出たため、治具を作り直して固定位置を変えた |
「難しかった点」が検索の入口になる
図面に書かれた言葉(材質名・加工方法・公差)は、そのまま検索の言葉にもなります。「SUS304 薄肉 びびり」「A5052 平面度」のような言葉は、難しかった点の説明の中に自然に入ります。Googleは、独自の情報や分析を提供しているか、トピックを熟知した人が書いているかを、コンテンツを自己評価する問いとして挙げています[6]。自社の現場で起きた課題と解決の記録は、ほかのサイトには無い独自の情報です。経験を具体的に書く考え方はE-E-A-Tとは?にもまとめています。
設備一覧と加工事例は、PDFのカタログだけに載せず、ホームページのページ(HTML)として書きます。PDFは印刷向けの作りなので、スマホでは拡大しないと読めないことが多くなります。事例ごとに題・説明文・画像の説明を付けにくく、1件を直すたびにファイル全体を作り直す手間もかかります。ページで書けば、事例1件ごとに題を付けて検索の入口にでき、すぐ下の問い合わせフォームにも進めます。カタログのPDFは、ページから「印刷用の資料」としてリンクする形で残すと両方を生かせます。
数値の書き方をそろえる
事例ごとに数値の書き方がばらばらだと、発注担当者は事例どうしを比べにくくなります。寸法は mm、公差は「±0.01 mm」、面粗さは「Ra0.8」のように、単位と記号の書き方を社内で1つに決めます。図面で一般公差の範囲に収まる部品は「一般公差」と書き、特に厳しい所だけ数値を書くと、どこが難しかったかが伝わります。数量も「試作5個」「月300個」のように、個数と頻度を分けて書きます。
業界の名前を添える
半導体装置、食品機械、医療機器の部品、自動車の試作など、使われた業界の名前を添えると、発注担当者は自分の業界での実績があるかを判断できます。取引先が特定されるおそれがある場合は「産業機械向け」のように広い呼び方にします。
件数より、そろった欄の数
事例は数が少なくても構いません。6つの欄がそろった事例が5件ある方が、写真だけの事例が50件あるより判断の材料になります。施工の事例を1件ずつ書く考え方は、工務店向けの施工事例は1件にどこまで書くかとも共通しています。
事例の題とページの分け方
事例は1件ごとに別のページにし、題に材質と加工方法と特徴を入れます。「事例01」のような題では、検索でも一覧でも中身が分かりません。一覧のページでは、加工方法別・材質別・業界別の3つの切り口で並べ替えられるようにすると、発注担当者が自分に近い事例へ早くたどり着けます。
| 場所 | 中身が分からない例 | 中身が分かる例 |
|---|---|---|
| 事例の題 | 「加工事例01」 | 「SUS304 薄肉スリーブの旋盤加工(内径公差 ±0.01 mm)」 |
| 一覧の並べ方 | 新しい順だけ | 加工方法別・材質別・業界別 |
| 事例の最後 | 何も無い | 「似た部品の見積もりはこちら」と問い合わせへのリンク |
事例の最後に問い合わせへの入口を置き、フォームの「似た事例」の欄に事例の題が入るようにしておくと、どの事例を見て問い合わせたかも分かります。
取引先の図面や部品の写真は、ホームページに載せてよい?
取引先の図面や部品の写真は、契約の中身を確かめ、取引先の了承を取ってから載せます。町工場の仕事の多くは図面を預かって作る仕事で、取引基本契約や秘密保持契約で外に出さない約束をしていることがあります。
写真1枚でも、形から取引先や最終製品が分かれば、その約束に触れるおそれがあります。社名を伏せても、特徴のある形や刻印、背景に写った図面から分かることがあります。迷ったら載せず、了承の範囲と日付を記録に残してから載せるのが、取引先との関係を守るいちばん確かな方法です。
取引先の部品を事例に載せる前の確認
状態で分かれる確認の順序を示す概念図です。契約の読み方に迷う場合は、取引先や専門家に確かめます。
営業秘密とは何か
営業秘密とは、不正競争防止法第2条第6項で、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの、と定められた情報のことです[2]。取引先の図面は、取引先の営業秘密にあたる場合があります。
反対に、自社の加工のコツを細かくホームページに書くと、「公然と知られていない」とは言えなくなり、自社の営業秘密として守りにくくなる点にも注意が要ります[2]。切削の条件、治具の寸法、工程の順番の細部は、事例に書かなくても技術は伝わります。
| 載せ方 | 確かめること | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 取引先名・製品名を出して載せる | 取引先の書面での了承 | 取引先も宣伝として歓迎している |
| 取引先名を伏せ、部品の写真を載せる | 形・刻印・背景から取引先が分からないか、契約で禁じていないか | 汎用的な形の部品 |
| 写真は載せず、材質・サイズ・精度だけ載せる | 数値の組み合わせから製品が特定されないか | 形に特徴がある部品 |
| 社内の加工サンプル・練習品を載せる | 自社の秘密にしたい加工条件まで書いていないか | 了承が取れないとき |
了承をもらうときの伝え方
了承をお願いするときは、載せる予定の写真と文をそのまま見せ、「社名は出しません」「数値はこの範囲です」と具体的に伝えると、取引先も判断しやすくなります。返事はメールなど記録に残る形でもらい、担当者が替わっても確かめられるようにします。量産が終わった後や、製品が発売された後なら了承が出やすい場合もあるため、断られた事例も時期を変えてもう一度相談する価値があります。判断に迷う場合は、取引先や専門家に確かめてください。
社内サンプルの作り方
社内サンプルとは、取引先の図面を使わずに、自社の技術を見せるために作る加工品のことです。取引先の了承が取れない工場でも、事例のページを止めずに済みます。作るときは、自社が得意な材質・形状・精度を1つに込めた形にし、6つの欄で事例と同じように説明します。展示会で配る見本と同じ物にすると、ホームページと展示会の話がそろいます。
- 得意な材質で作る(例:SUS304 と A5052 の2種類)
- 得意な加工を1つの形にまとめる(薄肉・深穴・複雑な曲面など)
- 測定の結果を添え、精度を数値で示す
- 取引先の製品に似た形は避ける
自社の加工技術を詳しく公開すると、特許に影響する?
特許を出願する予定の技術は、ホームページに載せる前に出願の予定を確かめる必要があります。特許法第29条は、出願の前に公然知られた発明や、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明は、原則として特許を受けられないと定めています[3]。
ホームページは「電気通信回線を通じて公衆に利用可能」な状態にあたると考えられます。新しい治具の仕組みや独自の加工方法を事例に詳しく書くと、その後に特許を出願しても、新しさ(新規性)が無いと判断されるおそれがあります。
新規性喪失の例外とは
新規性喪失の例外とは、特許法第30条で、特許を受ける権利を持つ人の行為で公開された発明でも、公開の日から1年以内に出願すれば、公開されなかったものとみなす決まりのことです[3]。この例外を使うには、出願と同時にその旨を書いた書面を出し、公開された発明が例外の対象であることを証明する書面を、出願の日から30日以内に特許庁長官に出す必要があります[3]。
| 場面 | 考え方 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 出願の予定がある技術 | 公開の前に出願するか、例外の手続きの期限を確かめる | 弁理士・特許庁の窓口 |
| 出願しない加工のコツ | 公開すると営業秘密として守りにくくなる | 社内で公開の範囲を決める |
| 既に特許を取った技術 | 特許番号を添えて紹介できる | 特許の権利の範囲 |
| 取引先と一緒に開発した技術 | 権利が誰にあるかを先に確かめる | 共同開発の契約 |
例外の決まりがあっても、ほかの人が先に同じ発明を出願した場合など、例外では救えない場面があるとされます。ホームページの文を書く担当者と、技術を守る担当者が別の場合は、新しい技術の記事は公開の前に技術の責任者が目を通すという社内の決まりを作っておくと安全です。判断は弁理士などの専門家に確かめてください。
公開してよい情報と、控える情報の目安
技術を伝えることと、技術を守ることは両立できます。発注担当者が判断に使うのは「できるかどうか」の情報で、「どうやってできるか」の細部ではないと考えられるためです。
| 情報 | ホームページでの扱いの目安 |
|---|---|
| 材質・サイズ・数量・精度の実績 | 載せる(取引先の了承の範囲で) |
| 工程の順番(大まかな流れ) | 載せる |
| 課題と、解決の方向(「治具の固定位置を変えた」など) | 載せる |
| 切削の条件(回転数・送り・工具の選び方)の細部 | 控える |
| 独自の治具の寸法・図面 | 控える(出願の予定も確かめる) |
| 取引先から預かった図面 | 載せない(了承がある場合を除く) |
線引きは会社ごとに違います。表は考え方の例として使い、自社で「載せる・控える・載せない」の3つに分けた一覧を作っておくと、記事を書く人が替わっても判断がそろいます。
ISO認証のマークは、ホームページにどう載せる?
ISO認証のマークは、認証機関ごとの使用規則に沿って、登録範囲を明記して載せます。ISO 9001などの認証は品質管理を判断する材料になりますが、マークの使い方は認証機関が決めています。
例として、日本規格協会ソリューションズの「審査登録機関の名称の使用、及び認証マーク又はロゴの使用について」(2025年11月25日)には、次の決まりがあります[1]。
- マーク類は、登録の有効期間のみ使用できる[1]。
- 登録範囲に明確に含まれている組織に限り使用できる。
- 登録証に表示されたIAF国際相互承認協定マーク(IAF MLAマーク)は、名刺やホームページ等には使用できない[1]。
- 消費者の目にとまる製品や製品の包装には表示しない。製品の適合性を示すと解釈される可能性がある方法でも表示しない。
- ホームページ等に表示するときは、登録範囲や登録事業所を明記し、登録範囲外の活動も載っている場合は、範囲外であることが分かるようにする[1]。
| 例 | 避けたい書き方 | 書ける形の例 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 製品写真の上にISOのマークを重ねる | 会社情報のページに、マーク・登録番号・登録範囲を並べる | 製品の適合性を示すと受け取られるおそれ |
| 例2 | 「ISO認証の高品質な部品」 | 「ISO 9001 認証取得(登録範囲:本社工場における精密部品の切削加工)」 | 認証は組織の仕組みが対象 |
| 例3 | 第二工場の写真の横にマーク(第二工場は登録範囲外) | 「※第二工場は登録範囲外です」と書き添える | 登録範囲外の誤解を防ぐ |
| 例4 | 失効した認証のマークを残す | マークと記載を外し、PDFの会社案内も直す | 有効期間のみ使える |
細かな決まりは認証機関ごとに違うため、自社の認証機関から受け取った使用規則を見て、ページの文案を確かめてください。認証の更新の時期には、ホームページの記載も点検の項目に入れておくと、失効後の記載の残りを防げます。
認証が無い工場は、品質をどう示すか
ISO認証を取っていない町工場も、品質を判断する材料は示せます。認証の有無とは別に、「測っているか」「記録を出せるか」「不具合のときにどう対応するか」は、ページで答えられる問いです。
- 測定機器の一覧と、全数検査か抜き取り検査かの別
- 検査成績書・材料の証明書(ミルシート)を出せるかどうか
- 不具合が見つかったときの連絡と作り直しの流れ
- 図面や加工の記録を何年残しているか
書く内容は、実際の運用と必ずそろえます。出せない書類を「出せる」と書くと、取引が始まった後の信用を落とします。
設備と事例の写真は、どう撮ってどう説明する?
設備と事例の写真は、大きさが分かる撮り方と、内容に沿った代替テキスト・ファイル名で整えます。Googleの画像の案内では、代替テキストは内容に沿った役に立つものにし、キーワードの羅列は避けるよう勧めています[5]。
同じ案内では、ファイル名は簡潔で分かりやすいものにし、「image1.jpg」のような一般的な名前は避けること、画像は関連するテキストの近くに置くことも勧めています[5]。加工事例の写真は、6つの欄の説明のすぐ上か横に置けば、この勧めに自然に沿います。
| 場所 | 避けたい例 | よい例 |
|---|---|---|
| ファイル名 | IMG_2034.jpg | sus304-shaft-turning.jpg |
| 代替テキスト | 「精密加工 切削 旋盤 部品 高精度」 | 「SUS304製シャフトの旋盤加工品(φ60×120mm)」 |
| 置き場所 | 写真だけを並べたギャラリー | 6つの欄の説明のすぐ上に写真 |
| 設備の写真 | 工場の全景1枚 | 機械ごとに1枚、表の行と同じ名前 |
撮り方の決まりを社内で1つにする
- 背景を片付け、無地の板や布の上に置く。背景に図面やホワイトボードが写らないようにする。
- 部品の横に定規やノギスを置き、大きさが分かるようにする。
- 加工面の質感が分かる角度を1枚、全体の形が分かる角度を1枚撮る。
- 刻印・品番・取引先のロゴが写っていないかを、公開の前に拡大して確かめる。
代替テキストの考え方は画像のalt属性とは?で、写真の権利の考え方はホームページの画像・写真の著作権で詳しく扱っています。社員が写る現場の写真は、本人の了承を取ってから使います。
動画を載せるときに確かめること
加工中の動画は、機械が動く様子や仕上がりの面を伝えやすい一方、写る範囲が写真より広くなります。手元の図面、画面に出た加工のプログラム、壁の工程表、ほかの取引先の部品が写り込んでいないかを、公開の前に最初から最後まで見て確かめます。動画の近くには、写真と同じく材質・サイズ・加工方法を文字で書き、動画を再生しなくても中身が分かるようにします。
設備の写真に添える文
設備の写真には、機械の名前だけでなく、その機械で作っている部品の種類を1行添えます。「5軸マシニングセンタ。複雑な形のアルミ一体部品を、段取り1回で加工しています」のように書くと、写真を見た発注担当者が自分の部品に結び付けやすくなります。
問い合わせフォームで図面を受け取るとき、何に気をつける?
問い合わせフォームで図面を受け取るときは、図面の添付ができること、利用目的を示すこと、見積もりを返す日数を書くことの3つを整えます。フォームは、図面を送って見積もりをもらうところまでが1回で済む形にします。
| 項目 | 入力の形 | 書き添えること |
|---|---|---|
| 図面・仕様書の添付 | PDF・DXF・STEPなど | 受け取れる形式と容量の上限 |
| 材質 | 自由入力(未定も可) | 「未定の場合はご相談ください」 |
| 数量 | 試作・量産の別と個数 | 最小ロットの目安 |
| 希望の納期 | 日付か「相談」 | 特急対応の有無と条件 |
| 秘密保持契約の希望 | 先に結びたい/不要 | 「図面の送付前に結ぶこともできます」 |
| 連絡先 | 会社名・氏名・メール・電話 | 利用目的(見積もりと連絡のため) |
個人情報の保護に関する法律第21条は、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知するか公表することを求め、本人から書面(電磁的記録を含む)で直接取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示することを求めています[4]。フォームの近くに「ご入力の情報は、お見積もりとご連絡のために使います」と書き、プライバシーポリシーへのリンクを置きます(プライバシーポリシーに書く項目)。
預かった図面の扱いを決めておく
フォームから届いた図面は、誰が見られるか、どこに保存するか、受注しなかった場合にいつ消すかを、社内で決めておきます。フォームの近くに「受注に至らなかった図面は〇日以内に削除します」「秘密保持契約を先に結ぶこともできます」と書くと、図面を送る不安が減ります。書いた内容は実際の運用と必ずそろえます。
見積もりの日数を書く
「図面をいただいてから〇営業日以内に、見積もりか、お受けできない旨をお返しします」と書くと、急ぎの案件を持つ発注担当者が待てるかを判断できます。断る場合も返事をする、と書いておくことは、問い合わせの心理的な負担を下げます。問い合わせ全体の見直しは問い合わせを増やす方法にまとめています。
電話とメールの受け方も書く
図面を見ながら電話で相談したい人のための入口も残します。電話番号の近くに受付の時間と、技術の担当者が出られる時間帯を書いておくと、かけ直しの手間が減ります。スマホで見たときに電話番号を押すと発信できるようにしておくことも大切です。メールで図面を受ける場合は、件名に入れてほしい言葉(会社名・部品名など)を書いておくと、ほかのメールに埋もれにくくなります。
設備・事例ページはどの順番で整えればよい?
設備・事例ページは、数値をそろえる作業から先に、見た目を整える作業を後に進めます。全部を一度に作る必要はなく、数値がそろったページから順に公開していけます。
設備・事例ページを整える順番
6つの手順全部を一度に作る必要はありません。上から順に、数値がそろった所から公開します。
ページの並びは、発注担当者の問いの順に合わせます。下の表は、町工場のサイトでよく使われるページと、それぞれが答える問いの対応です。
| ページ | 答える問い | トップからの距離 |
|---|---|---|
| トップ | 何を作る工場か(加工方法・材質・ロットを1行で) | — |
| 設備一覧 | この大きさが入るか | 1回で開ける |
| 加工事例 | この材質・精度の実績があるか | 1回で開ける |
| 品質管理 | 測定機器・検査成績書・認証 | 設備一覧から |
| 会社情報 | 所在地・従業員数・取引の条件 | どのページからも |
| 問い合わせ | 図面の送り方・見積もりの日数 | どのページからも |
工事の業種でも、事例を増やし続けるサイトの作り方は共通しています(工務店のホームページ費用と施工事例を増やし続ける作り方)。ページ同士のつなぎ方は内部リンクとは?を参照してください。
公開した後に見直すこと
公開した後は、問い合わせのたびに「どのページを見て連絡したか」を聞き、記録に残します。設備一覧から来た問い合わせが多ければ加工範囲の書き方が役に立っており、事例から来た問い合わせが多ければ事例の切り口が合っています。合わない問い合わせ(受けられない大きさ・材質)が続く場合は、受けられない条件の書き方を見直す合図です。Search Console で、どの言葉で事例のページが表示されたかを見ると、次に書く事例の材質や加工方法を選ぶ手がかりにもなります(検索パフォーマンスの見方)。
次にやること
次の6つの手順を、上から順に進めます。
- 設備一覧に加工範囲を足す
よく使う機械3台から、最大寸法・積載・最大径を、実際に受けている範囲で書き足します。測定機器も同じ表に並べます。 - 掲載の了承を取る
直近の仕事から取引先を3社挙げ、載せる予定の写真と文を見せて了承をもらいます。返事はメールで残します。 - 加工事例を5件書く
材質・サイズ・数量・精度・工程・難しかった点の6つの欄で書きます。了承が取れない分は社内サンプルを撮ります。 - 公開してよい技術か確かめる
特許の出願予定がある技術や、秘密にしたい加工条件が書かれていないかを、技術の責任者が確かめます。 - 認証マークと写真を整える
認証機関の使用規則でマークと登録範囲の書き方を合わせ、写真のファイル名と代替テキストを付け直します。 - フォームで図面を受け取れるようにする
添付・秘密保持・利用目的・見積もりの日数・受注しなかった図面の扱いを書きます。
よくある質問
- 設備一覧に機械のメーカーや型式を載せると、競合に手の内を知られませんか?
機械の型式は、展示会や工場見学でも分かることが多い情報です。守りたいのは、型式よりも加工の条件やコツの方です。設備一覧には加工できる範囲までを書き、切削の条件や治具の細部は書かない、という線引きが現実的です。
- 取引先から掲載の了承をもらうときは、口頭でもよいですか?
後で担当者が替わったときに確かめられるよう、メールなど記録に残る形で了承をもらうことをおすすめします。載せる写真と文を見せたうえで了承をもらうと、行き違いが減ります。了承の範囲(社名・写真・数値)と日付も一緒に残します。
- ISO認証を返上した後も、ホームページに書いたままでよいですか?
日本規格協会ソリューションズの使用規則では、マーク類は登録の有効期間のみ使用できるとされています。返上や失効の後は、マークと記載を外し、PDFの会社案内や採用ページの記載も合わせて直してください。ほかの認証機関の場合も、その機関の使用規則を確かめます。認証を取り直す予定がある場合でも、取り直すまでの間はマークを外しておきます。
- 新しく考えた治具の仕組みを事例に書いてもよいですか?
特許を出願する予定があるなら、公開の前に確かめてください。特許法では、出願の前にインターネットなどで公衆に利用可能となった発明は、原則として特許を受けられません。公開から1年以内の出願で使える例外の決まりもありますが、手続きの期限があるため、弁理士などの専門家に相談するのが安全です。
- 取引先が分からないように加工すれば、写真を載せてもよいですか?
ぼかしや切り抜きで取引先名を隠しても、部品の形そのものから製品が分かる場合があります。契約で図面や部品の公開を禁じている場合は、隠し方に関係なく載せられないことがあります。まず契約を確かめ、迷う場合は取引先に了承を取ってください。
- 製造業のサイトにも、価格の目安は載せた方がよいですか?
図面ごとに価格が変わるため、決まった価格を載せにくい業種です。載せる場合は「試作1個の例:〇〇(材質・サイズ・数量の条件)」のように条件を添え、実際の見積もりとずれない範囲で書きます。条件の無い「〇〇円から」だけの表示は、実際とのずれで信用を落とすおそれがあります。価格を載せない場合でも、「見積もりは無料」「図面が無い場合は手書きの寸法図でも可」のように、見積もりを頼むまでの条件を書いておくと、依頼のためらいを減らせます。
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今のサイトを無料で診断する →ホームページを作りはじめる- ご登録組織様における「審査登録機関の名称の使用、及び認証マーク又はロゴの使用」について(日本規格協会ソリューションズ株式会社 審査登録事業部、2025年11月25日・2026年10月29日確認)
- 不正競争防止法(第2条第6項)(e-Gov法令検索(デジタル庁)、2026年10月29日確認)
- 特許法(第29条・第30条)(e-Gov法令検索(デジタル庁)、2026年10月29日確認)
- 個人情報の保護に関する法律(第21条)(e-Gov法令検索(デジタル庁)、2026年10月29日確認)
- 画像の SEO ベスト プラクティス(Google 検索セントラル、2026年3月3日更新・2026年10月29日確認)
- 有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成(Google 検索セントラル、2026年10月7日更新・2026年10月29日確認)