エステサロンの広告には、どの法律がかかる?
エステサロンの広告には、書く内容ごとに医師法、景品表示法、薬機法、特定商取引法の4つが分かれてかかります。エステティックとは、医師の資格を持たない人が行う美容のための施術のことで、医療機関の広告を縛る医療法の広告規制は原則として対象外です。ただし、医師でなければできない行為を示すと読める広告は別の問題になります(次の節)。
広告とは、お客様を呼ぶための表示のすべてです。チラシや看板のほか、次の物も広告にあたります。
- ホームページ
- 予約サイトの店舗ページとクーポン
- Instagramの投稿
- Googleビジネスプロフィールの説明文
2026年3月の措置命令でも、問題になったのは予約サイトのクーポンのページでした[9]。自社のホームページだけを直しても、同じ文が別の場所に残っていれば同じ問題が残ります。
エステの広告にかかる法律は4つに分かれる
書く内容で分類- 例永久脱毛・毛根を破壊
- 例HIFU・アートメイク
- 例薬品で角質をはがす
- 例1回で−5cm・必ず痩せる
- 例No.1・満足度98%
- 例今だけ70%OFF
- 例シミが消える美容液
- 例便秘が治るサプリ
- 例医師も推奨の美顔器
- 対象1か月超・5万円超
- 禁止著しく事実と違う表示
1つの文が2つ以上の法律にかかることがあります。例は本文で理由を説明しています。
| 書く内容 | かかる法律・通知 | 問題になる言葉の型 | 主な相談先 |
|---|---|---|---|
| 施術の方法(脱毛・アートメイク・HIFU・ピーリングなど) | 医師法第17条[4]と厚生労働省の通知 | 医師でなければできない行為をしているように読める言葉 | 保健所 |
| 施術の効果(痩身・小顔・たるみ・肌) | 景品表示法第5条第1号(優良誤認表示)、第7条第2項(不実証広告規制)[8] | 根拠のない数字、「必ず」「誰でも」など効果を保証する言葉 | 消費者庁・都道府県の景品表示法の担当 |
| 価格・割引・期限 | 景品表示法第5条第2号(有利誤認表示) | 実際にはいつでも同じ割引なのに「今だけ」「期限内だけ」と見せる言葉 | 消費者庁・都道府県の景品表示法の担当 |
| 店で売る化粧品・健康食品・美容機器 | 薬機法第66条(誇大広告)、第68条(承認前の医薬品等の広告禁止)[5] | 化粧品の効能の範囲を超える言葉、病気が治るなど医薬品のような効能 | 都道府県の薬務担当 |
| 1か月を超え、総額5万円を超えるコース | 特定商取引法第43条(誇大広告等の禁止)[11] | 著しく事実と違う、または著しく優良・有利と誤認させる表示 | 消費生活センター |
薬機法の第66条と第68条は、規制の主体を「何人も」としています[5]。メーカーだけでなく、店頭やホームページで化粧品を紹介するエステサロンも対象になります。ほかの業種と比べたいときは、医療・美容・不動産・士業・飲食の広告の決まり早見表が役に立ちます。同じ「治る」「改善」で悩む業種の例は、整体院のホームページで「治る」「改善」と書けない理由にあります。
「永久脱毛」「HIFU」「アートメイク」はなぜエステの広告で書けない?
「永久脱毛」「毛根を破壊」は、医師でなければできない行為をエステサロンがしていると読める言葉なので、広告に書くと医師法第17条との関係で問題になります。医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めています[4]。
厚生労働省は平成13年11月8日に、医事課長通知(医政医発第105号)を出しています。題は「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」です。通知は、医師免許を持たない人が次の行為を業として行えば、医師法第17条に違反するとしています[1]。
- 用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線またはその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為
- 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為
- 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為
同じ通知は、違反の情報があれば実態を調べ、行為の停止を勧告するよう都道府県に求めています。悪質な場合は、告発も念頭に警察と連携するとしています[1]。
このため、広告で「永久脱毛」「毛根から破壊」「毛乳頭にダメージ」「医療脱毛と同じ機械」と書くと、店が医師でなければできない行為をしていると読める表示になります。問題は言葉だけではありません。施術そのものが通知の行為にあたらないかを先に確かめる必要があります。サロンで行う光を使ったお手入れについて、どこまでが医行為にあたらないかの判断は、所管の保健所や専門家に確かめてください。
| 例 | 避ける言葉 | 読まれ方 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 永久脱毛/二度と生えない | 毛乳頭等を破壊する施術 | 通知の(1)の行為を示すと読めるうえ、効果を保証する言葉になる |
| 例2 | 医療脱毛並み/クリニックと同じ機械 | 医療と同じ行為 | 機器が医療用か否かを問わず、照射して毛乳頭等を破壊する行為は医行為とされる |
| 例3 | 毛根にアプローチ/毛根から破壊 | 毛根部分への照射で破壊 | 通知の(1)の行為の言い方に近い |
| 例4 | 脱毛の施術を担当するのは医師ではありません(と書きつつ「永久」) | 無資格で医行為をしている | 断り書きで問題がなくなるわけではない |
HIFU・アートメイク・ピーリングの言葉
HIFU・アートメイク・薬品で表皮をはがすピーリングは、エステサロンの広告に施術として載せると問題になります。厚生労働省が、無資格者が業として行えば医師法第17条に違反するとしている行為だからです。通知は次のとおりです。
- HIFU(高密度焦点式超音波):令和6年6月7日の医事課長通知(医政医発0607第1号)で示されました[3]。
- アートメイク:令和5年7月3日の医事課長通知(医政医発0703第5号)で示されました[3]。
- 令和7年の局長通知:「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日 医政発0815第21号)です。脱毛行為等・アートメイクとともにHIFU施術を、医師法第17条に違反する行為に挙げています[3]。
令和7年の通知は、厚生労働省の検討会の報告書(令和6年11月22日とりまとめ)を受けて出されました。自由診療の美容医療について、医師法などに違反するかの判断基準を整理しています。保健所が立入検査できる場合も示しています[2]。
エステのホームページで起きやすいのは、次のような書き方です。
- メニュー表に「HIFU」「ハイフ」と書く
- まつ毛や眉のメニューに「アートメイク風」と書く
- フェイシャルに「ピーリングで古い角質を溶かす」と書く
次の表のように、施術の名前ではなく、実際にしていることをそのまま書きます。
| 例 | 避けたい書き方 | 確かめること | 書き方の方向 |
|---|---|---|---|
| 例1 | ハイフでたるみをリフトアップ | 使う機器がHIFU(高密度焦点式超音波)にあたるか | あたるならメニューに載せない。あたらない機器なら、機器の種類と施術の中身をそのまま書き、効果は書かない |
| 例2 | アートメイクで眉が長持ち | 針で皮膚に色素を入れる施術か | 入れないメイクやまつ毛の施術なら、その方法を書く。「アートメイク」の言葉は使わない |
| 例3 | ピーリングでシミを剥がす | 酸等の化学薬品で表皮剥離を行うか | 洗顔料や化粧品を使ったお手入れなら、使う製品と手順を書く。「剥がす」「シミに効く」は書かない |
どの機器・薬剤が通知の行為にあたるかは、エステサロンの側だけでは判断しにくいことがあります。迷うメニューは、広告を出す前に所管の保健所に、機器の名前と施術の方法を示して確かめます。
痩身・小顔・たるみの効果は、エステの広告でどこまで書ける?
エステの痩身・小顔・たるみの効果は、合理的な根拠の資料がある範囲でしか書けません。「必ず」「誰でも」「1回で」のように効果を保証する言葉は避けます。景品表示法第5条第1号は、商品やサービスの品質などについて「実際のものよりも著しく優良であると示す」表示を禁じています。これを優良誤認表示といいます。消費者庁は、故意でなくても規制の対象になると説明しています[7]。
エステで特に気をつけるのが不実証広告規制です。不実証広告規制とは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求め、出さなければ優良誤認表示とみなす仕組みのことです。根拠は景品表示法第7条第2項で、次の2つを定めています[8]。
- 期間を定めて「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる」
- 提出しないときは「当該表示は同号に該当する表示とみなす」
消費者庁によると、資料が合理的な根拠と認められない場合も同じく扱われ、課徴金納付命令では不当表示と推定されます[7]。
つまり「1回でウエスト−5cm」「むくみが2倍取れる」と書くなら、その数字を裏付ける試験や記録を、書く前に用意しておく必要があります。数人のお客様の結果だけでは、広告全体が示す効果の根拠として足りないと判断されるおそれがあります。計測の条件(施術の前後の時間、測った場所、飲食や着衣)がそろっていない数字も、根拠として弱くなります。
言い換えるときは、効果の大きさではなく、施術で何をするかを具体的に書きます。
痩身コースの紹介文の書き直し:説明用の架空例
前と後「1回でウエスト−5cm。誰でも必ず痩せる。医療痩身と同じ効果。今だけ70%OFF」根拠の資料・医行為と読める言葉・割引の基になる価格が分からない
- 施術ハンドで全身をほぐすボディコース
- 時間カウンセリング含め90分
- 使う物保湿用のボディオイル(製品名を表示)
- 料金税込の総額と2回目以降の料金
- 条件受けられない方・体調の確認
架空の文例です。実在する店の文ではありません。効果の数字は、合理的な根拠の資料があるときだけ書きます。
- ×「必ず痩せる」→ ○「ハンドで全身をほぐす60分のコース。施術の前に体の状態をうかがいます」
- ×「1回で小顔に」→ ○「フェイスラインから首までをマッサージするコース(30分)」
- ×「たるみが消える」→ ○「保湿のための美容液を使ったフェイシャル(使用する化粧品の名前を表示)」
- ×「脂肪が溶ける」→ ○「温めながらほぐすボディコース。温める機器の種類を表示」
- ×「セルライトを破壊」→ ○「太ももの裏から腰までを手で流すメニュー(40分)」
「No.1」「満足度98%」のような順位や割合の表示も、調べた方法・時期・対象がそろった根拠がないと、優良誤認表示にあたるおそれがあります。数字を出すなら、誰を対象に、いつ、何人に、どう聞いたかを表示のそばに書きます。
「今だけ」「期限内だけ」のクーポンは、エステで何が問題になった?
期限後も同じ割引で受けられるのに「期限内だけ割引」と見せたエステのクーポンには、2026年3月に3社への措置命令が出ています。景品表示法の有利誤認表示にあたるとされました。有利誤認表示とは、価格や取引の条件が、実際より著しく有利だと一般消費者に誤認される表示のことです。
消費者庁は令和8年3月25日、エステティックサロンの運営事業者3社に措置命令を出しました。施術サービスの表示が、景品表示法第5条第2号(有利誤認)にあたるとされました[9]。公表資料による表示の中身は次のとおりです。
- 場所:予約サイトの店舗ページの「クーポンメニュー」
- 対象:痩身の体験メニュー
- 表示:割引前と割引後の価格を並べ、「有効期限:2024年12月末日まで」などの期限を示していた
実際には、期限後に申し込んだ場合でも、期限内と同額の割引が適用された価格で施術を受けられたとされています[9]。
この事例から、エステの価格の表示で確かめることは次の3つです。
| 確かめること | 問題になりやすい形 | 書き方の方向 |
|---|---|---|
| 期限は本当の期限か | 期限が来るたびに同じ割引を出し直している | いつでも受けられる価格なら期限を書かない。期限を書くなら、期限後は割引をやめる |
| 割引前の価格で実際に受けていたか | 割引前の価格で受けた人がほとんどいない | 2回目以降の価格や通常の価格を、実際の販売の記録で確かめてから並べる |
| 割引の条件は正確か | 「初回限定」と書いて2回目以降も同じ価格 | 条件を価格のすぐそばに書き、条件どおりに運用する |
措置命令で命じられたのは次の3つです[9]。
- 表示が有利誤認にあたることを一般消費者に周知する
- 再発防止策を講じ、役員と従業員に周知する
- 今後、同様の表示を行わない
体験価格と「通常価格」を並べるときの8週間の目安などの決まりは、エステの初回体験価格の正しい表示で詳しく説明しています。料金と返金保証の書き方で同じ悩みを持つパーソナルジムの料金と返金保証の書き方も参考になります。
エステで売る化粧品は「シミが消える」と書ける?
エステで売る化粧品に「シミが消える」とは書けません。書けるのは、厚生労働省の通知で認められた効能の範囲(56項目)のうち、その製品の効能として表示されている物だけです。大阪府の「化粧品の効能効果の範囲」は、平成12年12月28日の厚生省医薬安全局長通知と平成23年7月21日の通知(抜粋)をもとに、56項目を示しています[6]。肌に関わる項目の一部は次のとおりです。
| 範囲内の効能(番号は通知の別表の番号) | 範囲を超える言い方の例 |
|---|---|
| (20) 肌のキメを整える | 毛穴がなくなる |
| (22) 肌荒れを防ぐ | ニキビが治る(洗顔料の「(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ」は別項目) |
| (24) 皮膚にうるおいを与える | 細胞が若返る |
| (30) 肌にはりを与える | たるみが消える/リフトアップ |
| (37) 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ | シミが消える/シミが薄くなる |
| (56) 乾燥による小ジワを目立たなくする | シワがなくなる |
同じページは、「小じわを目立たなくみせる」などのメーキャップ効果や、「清涼感を与える」などの使用感は、事実に反しない限り表示・広告できるとしています[6]。なお、56項目はどの化粧品にもすべて書けるという意味ではありません。売る製品の容器や添付文書に書かれた効能を確かめ、その製品の効能の範囲で書きます。
薬機法第66条第1項は、医薬品等の効能・効果・性能などについて、虚偽または誇大な広告を禁じています。明示的か暗示的かは問いません。第2項は、医師などが保証したと誤解されるおそれのある記事も第1項に該当するとしています[5]。このため、店販の化粧品や美顔器に「医師も推奨」「皮膚科医監修だから安心」と書くときは注意が要ります。
健康食品について「便秘が治る」「血糖値を下げる」「脂肪を燃やす」のように体の働きを変える効能を書くと、承認を受けていない医薬品の広告と見られるおそれがあります。薬機法第68条は、承認・認証を受けていない医薬品などについて、名称・効能・効果・性能の広告を禁じています[5]。迷う場合は、都道府県の薬務担当の窓口に相談します。
ビフォーアフター写真・体験談・紹介の投稿は「個人の感想です」で足りる?
エステのビフォーアフター写真や体験談は、「個人の感想です」と添えるだけでは足りません。効果が出ない人が相当数いるのに効果の体験談を載せると、景品表示法上問題となるおそれがあります。
根拠は、消費者庁の「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」です[10]。資料の要点は次の2つです。
- 体験談を見た人は「『大体の人』が効果、性能を得られる」と受け取る。「個人の感想です」に気付いても、その受け取り方はほとんど変わらないと考えられる
- 効果を得られない人が相当数いるのに効果の体験談を載せると、打消し表示が明瞭でも問題となるおそれがある
打消し表示とは、強調した表示に例外や条件があることを知らせる表示のことです。資料は、スマートフォンのWeb広告では、強調表示から1スクロール以上離れた場所の打消し表示に、消費者が気付かない場合があることも示しています[10]。
「個人の感想です」の打消し表示で変わること・変わらないこと
対象と対象外- 効果が出ない人が相当数いるのに効果の体験談だけ載せる
- 都合のよい体験談だけを選ぶ
- 謝礼と引き換えの投稿を広告と示さない
消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」とステルスマーケティングの運用基準をもとにした概念図です。
ビフォーアフター写真も同じ考え方で見られます。エステでは次の点を確かめてから載せます。
- 載せる写真が、同じコースを受けたお客様の中で特に結果の良い例だけになっていないか
- 撮影の条件(照明・角度・時刻・むくみやすい時間帯か)がそろっているか
- 写真の人が受けた回数・期間・併用したこと(食事の指導など)を写真のそばに書いているか
- 写真の加工(明るさ・輪郭)で、実際より効果があるように見えていないか
- 写っている人の同意を、載せる場所と期間を決めて取っているか
写真の人の同意の取り方は美容室のスタイル写真をサイトに載せる決まりに、モデルの同意書の項目として詳しくまとめています。
お客様やインフルエンサーに投稿を頼むとき
エステサロンが割引や無料の施術と引き換えに投稿を頼み、内容に関わった場合、その投稿は店の広告として扱われます。広告であることが分かる表示が要ります。2023年10月1日から、広告であるのに広告と分からない表示(ステルスマーケティング)は景品表示法違反になりました[12]。
消費者庁によると、規制の対象は企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示した広告も含み、SNSやレビュー投稿などのインターネット上の表示も対象です。規制されるのは商品やサービスを供給する事業者(広告主)で、依頼を受けた第三者は規制の対象になりません[12]。つまり、問題になったときに責任を問われるのはエステサロンの側です。
エステで起きやすいのは次の場面です。
- 「投稿してくれたら次回500円引き」と伝え、投稿に入れてほしい言葉やハッシュタグを指定する
- モデル価格や無料で施術し、店の指定どおりの「効果があった」紹介を投稿してもらう
- お客様の口コミのうち、良い物だけを選んで「お客様の声」としてホームページに並べる
投稿の中身が店の広告にあたる場合は、「PR」「広告」などの表示を入れてもらいます。また、投稿の中の効果の言葉は店の広告として見られるため、上の節の医師法・景品表示法・薬機法の線引きもそのままかかります。口コミの扱いはお客様の声・口コミとステマ規制:やってよい事の線引きに詳しくまとめています。
コース契約の広告で、特定商取引法は何を求めている?
エステの1か月を超え総額5万円を超えるコースは、特定商取引法の特定継続的役務提供にあたります。広告では、著しく事実と違う表示や、著しく優良・有利と誤認させる表示が禁止されます。
消費者庁の「特定商取引法ガイド」による対象と主な決まりは次のとおりです[11]。
- 対象:期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約(美容医療を除く)
- 金額の数え方:関連商品の販売なども含む契約金の総額
- クーリング・オフ:契約書面を受け取った日から8日以内
- 中途解約の上限(施術の前):2万円
- 中途解約の上限(施術の後):提供済みの対価に「2万円または契約残額の10%のいずれか低い額」を足した額
そして第43条は、「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁じています[11]。
| コースの広告に書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 回数と期間 | 全10回・有効期限6か月 |
| 総額(税込)と1回あたりの金額 | 総額88,000円(税込)・1回あたり8,800円 |
| 総額に含まれる物・含まれない物 | ホームケア用品は含みません(購入は任意) |
| クーリング・オフと中途解約 | 契約書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができます。中途解約の精算方法は契約書面に記載します |
コースの広告で効果を強く言うと、景品表示法と特定商取引法の両方で問題になるおそれがあります。特定商取引法に基づく表記の要否は特商法の表記は必要?判定表と書き方で確かめられます。
エステの広告が違反と判断されたら、何が起きる?
エステの広告が景品表示法違反と判断されると、措置命令で違反の周知や再発防止を命じられます。優良誤認・有利誤認では、課徴金を命じられることもあります。課徴金の決まりは景品表示法第8条第1項にあります[8]。
店で売る化粧品などの虚偽・誇大広告は、薬機法の課徴金の対象です。この制度は令和3年8月1日に施行されました[13]。無資格の医行為には、医師法の罰則があります[4]。率や金額は次の表にまとめます。
| 法律 | 主な対象 | 行政の措置の例 | 課徴金の目安 |
|---|---|---|---|
| 景品表示法 | 施術の効果・価格・期限の表示 | 措置命令(周知・再発防止・今後同様の表示をしない) | 売上額の3%(150万円未満は命じられない) |
| 薬機法 | 店で売る化粧品・健康食品・機器の広告 | 指導・命令 | 売上額の4.5%(225万円未満は命じない) |
| 医師法 | 無資格での医行為 | 保健所の調査・停止の勧告、悪質な場合は告発。第17条違反は第31条で3年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金(併科あり) | -(罰則は刑事罰) |
| 特定商取引法 | 1か月超・5万円超のコース | 指示・業務停止などの行政処分 | - |
表の金額・率は、景品表示法第8条、厚生労働省「課徴金制度の導入について」、医師法第31条、平成13年の医事課長通知による(2026年10月29日確認)。減額や対象期間の細かな決まりは原文で確かめてください。
行政の措置だけでなく、措置命令は消費者庁のサイトで社名とともに公表されます。お客様が店の名前で検索したときに、その公表資料が出てくることも考えておきます。
エステの広告を公開する前に、何をどの順で確かめる?
エステの広告は、文章を4つの種類に分け、言葉・数字・写真・掲載場所の順に確かめてから公開します。迷う言葉は窓口に聞きます。自宅で開くサロンなど、ひとりで広告を作る場合も同じ順で確かめられます。住所を出さずに地図に出す方法は個人サロン・自宅サロンが住所を出さずに地図検索に出る方法にまとめています。
書けない例と書ける例の早見表
下の表は、ここまでの節の決まりを、よく見る言葉ごとに並べたものです。どれも言葉だけで決まるのではなく、施術の実態と根拠の資料で判断されます。
| 例 | 書けない例 | かかる決まり | 書ける例(方向) |
|---|---|---|---|
| 例1 | 永久脱毛・毛根から破壊 | 医師法第17条・平成13年の通知 | 施術の方法と所要時間をそのまま書く。効果の保証はしない |
| 例2 | HIFUでリフトアップ | 令和6年・令和7年の通知 | HIFUにあたる施術ならメニューに載せない |
| 例3 | 1回で−5cm・必ず痩せる | 景品表示法の優良誤認・不実証広告規制 | ハンドで全身をほぐす90分のコース |
| 例4 | 満足度No.1 | 景品表示法の優良誤認 | 調べた方法・時期・対象を書けるときだけ数字を出す |
| 例5 | 今だけ70%OFF(期限後も同じ) | 景品表示法の有利誤認 | いつでも受けられる価格は期限を書かずに表示 |
| 例6 | シミが消える美容液 | 化粧品の効能の範囲 | 製品の効能の範囲で書く(例:日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ、と表示された製品なら) |
| 例7 | 医師も推奨の美顔器 | 薬機法第66条第2項 | 機器の名前・使い方・使う時間を書く |
| 例8 | 個人の感想です(効果の体験談だけ) | 打消し表示の留意点 | 回数・期間・条件を添え、偏った選び方をしない |
ホームページの文は、Googleの検索やAIの回答で店を説明するときの材料にもなります。効果の約束ではなく、施術の中身と料金と条件が文字で書かれていると、問いに合わせて内容を読み取ってもらいやすくなります。書き方の考え方はAIによる概要とは?引用される条件とサイトへの影響やFAQページの作り方にまとめています。
公開前の8つの手順
- 文章を4つに分ける
施術の方法、施術の効果と価格、店で売る物、コースの条件に分け、どの法律がかかるかを最初の節の表で確かめます。 - 施術の方法の言葉を探す
「永久」「毛根」「破壊」「医療」「ハイフ」「アートメイク」「ピーリング」を探します。あれば施術そのものを保健所に確かめます。 - 数字と保証の言葉を確かめる
「〇cm」「〇kg」「〇倍」「No.1」「必ず」「誰でも」「1回で」があれば、根拠の資料が手元にあるかを確かめ、なければ消します。 - 価格と期限を確かめる
期限を書いた割引が期限後に本当に終わるか、割引前の価格で実際に受け付けていたかを、予約の記録で確かめます。 - 化粧品の効能を照らす
製品ごとに容器の効能と56項目を照らし、範囲外の言葉を消します。 - 写真・体験談・投稿を確かめる
条件・回数・期間が添えてあるか、謝礼と引き換えの投稿に「PR」などの表示があるかを確かめます。 - 掲載場所をそろえる
ホームページ、予約サイトのクーポン、Instagram、Googleビジネスプロフィール、チラシの文を同じ日にそろえます。 - 迷う言葉は窓口に聞く
施術の内容は保健所、化粧品・健康食品は都道府県の薬務担当、表示全般は消費生活の窓口や専門家に確かめます。
よくある質問
- 「脱毛」という言葉自体をエステの広告で使ってはいけないのですか?
- 平成13年の厚生労働省の通知が医師法違反としているのは、光線などを毛根部分に照射して毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為を、医師免許のない人が業として行うことです。「脱毛」という単語だけで一律に禁止という決まりではありませんが、広告の書き方が医行為を示すと読めるかどうかで判断されます。施術の内容とあわせて、所管の保健所に確かめるのが確実です。
- お客様の体験談を載せるとき、何を添えればよいですか?
- 受けたコース・回数・期間、併用したこと(食事の指導など)、撮影の条件を添えます。ただし消費者庁の資料は、「個人の感想です」といった打消し表示を付けても、多くの人に効果があるという認識はほとんど変わらないとしています。効果が出なかった人が相当数いるコースでは、体験談そのものを載せないことも考えます。
- 予約サイトのクーポンの文も、エステサロンの責任になりますか?
- 予約サイトに載せたクーポンの表示も、施術サービスを供給するエステサロンの表示として扱われることがあります。2026年3月の消費者庁の措置命令では、予約サイトの店舗ページのクーポンの表示について、エステの運営事業者3社が命令を受けています。予約サイトの文も、自社のホームページと同じ基準で確かめます。
- 「痩身」「小顔」という言葉はメニュー名に使えますか?
- メニュー名に使うこと自体を一律に禁じた決まりは見当たりませんが、メニュー名も広告の一部として、実際より著しく優良に見せていないかで判断されます。「小顔」と名付けるなら、何をするコースか(顔から首のマッサージ30分など)をすぐそばに書き、効果の大きさは根拠の資料がある範囲にとどめます。迷う場合は消費生活の窓口や専門家に確かめます。
- エステの広告で「医療」という言葉を使ってもよいのはどんな場合ですか?
- エステサロンが自分の施術について「医療」「治療」「クリニック並み」と書くと、医師でなければできない行為をしていると読まれるおそれがあります。提携する医療機関を紹介する場合も、施術をする主体が誰かが分かるように、医療機関の名前と施術の場所を分けて書きます。判断に迷う場合は所管の保健所に確かめます。
- 違反を指摘されたら、まず何をすればよいですか?
- まず、指摘された文がホームページ、予約サイト、Instagram、Googleビジネスプロフィール、チラシのどこに載っているかを洗い出し、同じ文を一度に止めます。次に、指摘の内容(効果の根拠、価格の条件、施術の内容など)に合わせて、根拠の資料や予約の記録を集めます。行政からの連絡には期限があることがあるため、早めに専門家に相談します。
あなたのサイトは、いま何点?
URLを入れるだけで、検索とAIの回答で見つけてもらうための項目を無料で点検します。登録は要りません。
今のサイトを無料で診断する →ホームページを作りはじめる- 医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて(平成13年11月8日 医政医発第105号)(厚生労働省医政局医事課長通知、2026年10月29日確認)
- 美容医療に関する取扱いについて(厚生労働省、2026年10月29日確認)
- 美容医療に関する取扱いについて(令和7年8月15日 医政発0815第21号)(厚生労働省医政局長通知、2026年10月29日確認)
- 医師法(昭和23年法律第201号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、2026年10月29日確認)
- 医薬品等の広告規制について(厚生労働省、2026年10月29日確認)
- 化粧品の効能効果の範囲(大阪府、2026年10月29日確認)
- 優良誤認とは(消費者庁、2026年10月29日確認)
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、2026年10月29日確認)
- エステティックサロンの運営事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁、令和8年3月26日公表・2026年10月29日確認)
- 打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)(消費者庁、平成30年6月7日公表・2026年10月29日確認)
- 特定継続的役務提供(特定商取引法ガイド)(消費者庁、2026年10月29日確認)
- ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制(消費者庁、2026年10月29日確認)
- 課徴金制度の導入について(厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課、2026年10月29日確認)