整体院のホームページで「治る」「改善」と書けない理由は3つです。1つ目は、2025年2月18日の厚生労働省のガイドラインが、整体などの広告やホームページで「腰痛」「肩こり」など症状への施術の表現をすべきでないと示したことです[1]。2つ目は景品表示法で根拠を求められること、3つ目は国家資格の施術と誤認させるおそれがあることです[3]。整体は、消費者庁が「法的な資格制度がない医業類似行為」と呼ぶ施術で、あん摩マッサージ指圧や柔道整復とは別のものです[2]。「改善率○%」などは、消費者庁から合理的な根拠を求められ、出せなければ措置命令では不当表示とみなされます(2026年10月29日確認)[3]。言い換えの基本は、効果ではなく何をするか(施術の内容・時間・料金・受けられない方)を書くことです。
整体は、法律の上でどういう施術?
整体は、消費者庁が「法的な資格制度がない医業類似行為」と呼ぶ施術で、あん摩マッサージ指圧や柔道整復のような国家資格の施術とは別のものです[2]。消費者庁の2017年5月26日の注意喚起は、器具を使わない手技の施術を、法的な資格制度がある施術とない施術の2つに分けています[2]。
医業類似行為とは、医師が行う医業ではないものの、体に働きかけて健康の維持などを図る施術のことです。消費者庁の資料は、整体・カイロプラクティックなどを医業類似行為としています。そのうえで、リラクゼーションマッサージと並べて「法的な資格制度がない施術」に分けています[2]。そのうえで、医学的観点から人体に危害を及ぼす可能性のある施術は禁止されているが、施術内容は事業者によりまちまちだと説明しています[2]。
| あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復 | 整体・カイロプラクティックなど | |
|---|---|---|
| 資格 | 文部科学大臣の認定した学校などで3年以上学び、国家試験に合格した者だけが業として行える | 法的な資格制度がない(民間資格はある) |
| 開業 | 施術所を開設する場合は都道府県知事に届け出る | あはき師法・柔道整復師法の施術所の届出の対象外 |
| 広告の法律 | あはき師法第7条・柔道整復師法第24条で書ける事項が限られる | これらの条文の対象ではないが、景品表示法などは当然かかる |
| 2025年のガイドライン | 第Ⅲ〜Ⅵ章(広告できる事項、ホームページ) | 第Ⅶ章「無資格者の行為に関する広告について」 |
| 健康保険 | 条件を満たせば療養費の対象 | 対象の制度はない |
表の資格と開業の行は消費者庁の資料、広告の行は厚生労働省のガイドラインによります[1][2]。健康保険の行は、療養費の制度があはき・柔道整復の施術を対象にしていることによります。国家資格の施術所の書き方は整骨院のホームページで保険が使える症状をどう書くかで扱っています。
消費者庁の資料は、厚生労働省の1991年の通知も引いています(「医業類似行為に対する取扱いについて」平成3年6月28日付 医事第58号)[2]。それによると、国家資格の施術以外の医業類似行為は「医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象にすること」とされています。いわゆるカイロプラクティック療法には、「禁忌対象疾患の認識」「一部の危険な手技の禁止」「適切な医療受療の遅延防止」などの取扱いが定められています[2]。整体院のホームページで「病院に行かなくても大丈夫」と読める文を避けるべきなのは、この「適切な医療受療の遅延防止」の考え方とも重なります。
2025年のガイドラインは、整体の広告に何を求めている?
厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドライン(2025年2月18日)は、第Ⅶ章で整体などの広告に「掲載すべきでない事項」を8つ示しています[1]。あはき・柔整広告ガイドラインとは、あん摩・はり・きゅう・柔道整復の広告の決まりの解釈と、無資格者の広告の適切なあり方をまとめた厚生労働省の指針のことです[1]。
ガイドラインが整体まで扱うことにしたのは、消費者庁に国家資格のない者の手技による事故の情報が寄せられているためです[1]。ガイドラインは、2012年8月2日の国民生活センターの資料も引いています。その資料は、適応症の広告や、身体症状・疾病に効果があると受け取られる広告に、消費者の誤認のおそれがあると指摘しました。あん摩マッサージ指圧以外の行為を提供する場所で「マッサージ」という語句を使う広告も、同じく指摘されています[1]。
無資格者の広告に載せるべきでない8項目
3つの目的で整理- (1)虚偽・客観的事実と証明できないもの
- (2)他との比較で優良性を示すもの
- (5)科学的根拠が乏しい情報で不安をあおるもの
- (3)早急なサービスの利用を過度にあおる表現
- (4)費用の安さなどの過度な強調
- (6)あはき師法・柔整師法などに抵触する内容
- (7)公序良俗に反するもの
- (8)関連法令などで禁止されるもの
(1)〜(8)は原文の番号です。目的ごとに並べ替えています。
- 内容が虚偽にわたる、または客観的事実であることを証明できないもの
- 他との比較などで自らの優良性を示そうとするもの
- 早急なサービスの利用を過度にあおる表現
- 費用の安さなどの過度な強調
- 科学的な根拠が乏しい情報で利用者の不安を過度にあおり、利用へ誘導するもの
- あはき師法・柔整師法などに抵触する内容を含むもの
- 公序良俗に反するもの
- 関連法令などで禁止されるもの
整体院にとっていちばん大きいのは6つ目です。ガイドラインは、次の表現を広告やホームページに使うべきでないとしています。
「腰痛」、「膝の痛み」等の痛み症状に対する施術、慢性の「肩こり・疲労」等の常態的な症状に対する施術の表現は、特定の疾患に対する施術或いは疾患の原因となる可能性を含んでいる症状に対する施術に当たる可能性が高いことから、広告及びウェブサイト等に表現すべきでない
この一文の出典は第Ⅶ章です[1]。「治る」と言い切らなくても、「腰痛の整体」「肩こり専門」のように症状名と施術を結び付けた見出し自体が避ける対象です。
第Ⅶ章は、関係団体などの自主的な取組を促す位置づけで、条文そのものではありません[1]。ただし最後の8つ目にあるとおり、景品表示法などの法律は別に直接かかります[1]。次の節で、その景品表示法の仕組みを見ます。
ガイドラインの第Ⅶ章が対象とする範囲は、国家資格の施術の広告と同じ「何人も」の考え方によります[1]。ガイドラインは、施術者や施術所だけでなく、マスコミや広告代理店も規制の対象になり得るとしています。個人のブログやSNSで紹介して広告料を得るインフルエンサー・アフィリエイターも同じです[1]。整体院が紹介を頼んだSNSの投稿や、制作会社が書いた紹介文も、整体院の広告として同じ目で見られると考えておくのが安全です。
「治る」「改善」と書くと、景品表示法で何を求められる?
整体院が「治る」「改善率○%」と書くと、景品表示法の不実証広告規制により、消費者庁から表示の裏付けとなる合理的な根拠の資料を求められることがあります[3]。景品表示法とは、商品やサービスの品質・価格について、実際より著しくよいと見せる表示などを禁じる法律のことです[4]。
景品表示法第5条第1号は、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁じています。不当に顧客を誘引し、消費者の自主的で合理的な選択を妨げるおそれがある表示で、これを優良誤認表示と呼びます[4]。消費者庁の説明では、誤って表示してしまった場合でも、優良誤認表示に当たれば規制の対象になります[4]。消費者庁は、品質を実際より優れていると偽る表示を優良誤認の例に挙げています。競争業者より特に優れていないのに、優れているかのように示す表示も例に入っています[4]。整体院に置き換えると、「他院では取れない痛みも当院なら」のような比較の文が後者に当たり得ます。
不実証広告規制の流れ(景品表示法第7条第2項)
確認の順番消費者庁の説明をもとにした概念図です。
合理的な根拠と認められるには、消費者庁の説明で次の2つが要ります[3]。
- 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
- 表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
期間内に資料を出さない場合や、出した資料が根拠と認められない場合は、その表示は措置命令との関係で不当表示とみなされます。課徴金納付命令との関係では、不当表示と推定されます(第7条第2項、第8条第3項)[3][4]。「改善率95%」「たった1回で効果を実感」「どこへ行っても治らなかった方へ」といった文を考えます。自院のアンケートや施術者の実感では、この2つの要件を満たすのは難しい表現です。
2025年のガイドラインも、国家資格の施術所向けの第Ⅵ章で、同じような文をホームページに載せるべきでない例に挙げています。「治ります」「根本治療」「○○に効きます」「○○の治癒率○○%」「たった1回で効果を実感」「顧客満足度No1」などです[1]。国家資格の施術所でも載せるべきでないとされている表現を、資格制度のない整体院が使う理由はありません。エステの広告の言葉の線引きはエステサロンの広告で使えない言葉も参考になります。
国家資格の施術や医療と誤認させないには、何に気を付ける?
整体院は、国家資格が必要な業務を行っているように見える表示と、病院・診療所に紛らわしい名称を避ける必要があります[1]。ガイドラインは、無資格者の行為は国家資格が必要な業務とは「全く異なる」としています。そのため、国家資格の業を行っていると誤認させる表示は不適切で、写真や画像を使った場合も同じです[1]。
医療との関係では、ガイドラインが引用する医療法第3条第1項が、「疾病の治療(助産を含む。)をなす場所であつて、病院又は診療所でないもの」に、診療所・医院など病院又は診療所に紛らわしい名称を付けることを禁じています[1]。院名に「クリニック」「診療所」などを使わないのはもちろん、白衣とレントゲン写真を並べるような見せ方も、国家資格や医療と誤認させないかという目で見直してください。
| 見直す所 | 誤認のおそれがある例 | 見直しの方向 |
|---|---|---|
| 院名・ロゴ | ○○クリニック、○○診療所 | 「整体」を含む名称にする |
| メニュー名 | 整体マッサージ、治療コース | 「マッサージ」「治療」を外し、施術の内容で名付ける |
| 施術者の紹介 | 資格名だけを大きく出し、発行元を書かない | 「○○協会認定(民間資格)」と発行元と民間資格であることを書く |
| 写真 | 白衣・聴診器・レントゲン写真を前面に出す | 実際の施術室と施術の様子を写す |
| 受付の言葉 | 診療時間、休診日、患者様 | 営業時間、定休日、お客様 |
表の「誤認のおそれがある例」は、ガイドラインの考え方から導いた例です。国家資格の業と誤認させる表示は不適切という考え方と、国民生活センターの「マッサージ」の語句の指摘がもとになっています[1]。逆向きの決まりとして、ガイドラインは国家資格の施術所の名称に「整体」「カイロプラクティック」を入れることを広告不可の例としています[1]。国家資格の施術所と整体院がお互いの言葉を使わないことで、利用者が区別できるようにする考え方です。
施術者の経歴は、整体院では法律で書ける事項が限られているわけではありません。ただ、民間資格の名前が国家資格に似ている場合は、利用者が国家資格と取り違えることがあります。資格名の横には「民間資格」「発行:○○協会」と添えます。国家資格を持っていない場合は、持っているように読める書き方(「医療系の資格保有」のようなあいまいな表現)を避けます。整体院の施術者が別に国家資格を持っている場合でも、その資格に基づく施術を整体院のメニューとして行っているように見せると、国家資格の施術所の決まりと混ざります。どの施術をどの立場で行うのかを、ページの中で分けて書いてください。
症状名を使わずに、整体院のページには何を書けばよい?
整体院のページは、効果を約束する文の代わりに「何を・どのくらいの時間・いくらで行うか」と「受けられない方」を書けば、決まりに沿って選ぶ材料がそろいます[1][3]。症状名を別の言葉で暗示するだけの言い換え(「つらいあの痛みに」など)は、ガイドラインの趣旨から見て同じ扱いになり得るので避けます。
| 例 | 書かない文 | 理由 | 代わりに書く文の例 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 腰痛・肩こりを根本から改善 | 症状への施術の表現(第Ⅶ章)、根拠の求め(景品表示法) | 背中から腰まわりを中心に、手で押す・伸ばす施術を60分行います |
| 例2 | 改善率95%/1回で実感 | 客観的事実と証明できない | 施術の回数や間隔は、初回にお体の状態を伺って相談します |
| 例3 | 病院で治らなかった方、諦めないで | 不安をあおる・医療との比較 | 持病のある方、通院中の方は、施術の前に医師にご相談ください |
| 例4 | 地域No.1の整体院 | 比較による優良性 | 開業2018年、施術者1名の予約制の整体院です |
| 例5 | 今だけ初回半額!残り3枠 | 早急な利用をあおる・費用の過度な強調 | 初回料金 4,000円(カウンセリング15分を含む) |
| 例6 | 整体マッサージ/治療院 | 国家資格の施術・医療との誤認 | 整体(国家資格に基づくマッサージではありません) |
| 例7 | 自律神経を整えて不眠を解消 | 疾患・症状への効果の表現 | 照明を落とした個室で、うつ伏せと仰向けで施術します |
右側の文は、法令やガイドラインに沿うよう事実だけで組んだ例です。実際の料金・時間・開業年はご自身の数字に置き換えてください。
ほかにも、効果の表現を使わずに書ける文は多くあります。
- 施術は完全予約制で、1日の受付は6名までです。
- 施術の前に、今日の体調と、触れてほしくない所を伺います。
- 施術中に強さが合わないときは、いつでもお声がけください。
- 施術後は水分をとり、激しい運動は控えてください。
- 妊娠中の方、持病で通院中の方は、事前に医師にご相談のうえお越しください。
どれも、施術の流れや店の決まりという事実を書いた文なので、根拠を求められても説明できます。
整体院のメニュー紹介:説明用の架空例
前と後「つらい腰痛・肩こりを根本改善。改善率95%の独自メソッド」症状への施術の表現と、根拠を示せない数字
- 施術の内容手で押す・伸ばす施術。主に背中と腰まわり
- 時間カウンセリング15分
+施術45分 - 料金1回の料金。回数券は別に条件を書く
- 受けられない方持病のある方は事前に医師へ相談
- 施術者氏名と経歴。民間資格は発行元を書く
- 予約予約方法と受付時間
金額・数字は入れていません。実際の内容で書きます。
施術の説明は、体のどの部位に、どんな手技を、どのくらいの時間・強さで行うかを書くと具体的になります。たとえば「うつ伏せで背中から腰まわりを手のひらで押す」「仰向けで首まわりをゆっくり伸ばす」「強さは施術中に声をかけて調整する」のような書き方です。施術着の有無、着替えの場所、施術室が個室かどうか、女性の施術者を選べるかなども、効果の表現を使わずに書ける選ぶ材料です。
ページの見出しも同じ考え方で付けます。「腰痛でお悩みの方へ」ではなく「施術の流れ」「料金と回数券」「初めての方へ」「受けられない方」のように、ページの中身を表す見出しにします。こうした見出しは、検索で店名を探した人にも、AIの回答(ChatGPTやGoogleのAIによる概要)で店の紹介が作られるときにも、事実の材料として使われます。見出しの付け方はFAQページの作り方も参考になります。
お客様の声やビフォーアフター写真は、整体院のサイトに載せてよい?
整体院がお客様の声や施術前後の写真で効果を語らせるのは、避けるのが安全です。店が選んで載せた表示として、景品表示法の根拠の求めの対象になり得るためです[3][4]。2025年のガイドラインも、無資格者の広告に、客観的事実と証明できないものや他との比較で優良性を示すものを載せるべきでないとしています[1]。
国家資格の施術所向けの第Ⅵ章は、より具体的な例を挙げています。撮影条件や被写体の状態を変えて撮った施術前後の写真で効果を強調することは誇大なもの、加工・修正した写真は虚偽として扱うべきとしています[1]。施術者に都合のよい感想だけを選んで載せることや、謝礼を払ってそうした感想が出るように誘導して載せることも、すべきでないとされています[1]。整体院もこの考え方に合わせておくと、後から見直す手間が減ります。
お客様が自分のSNSに書いた感想を、店のアカウントで再投稿したりホームページに埋め込んだりするときも同じです。店が選んで広める時点で、店の表示として扱われる可能性があります。ガイドラインは、利用者が自発的に書いた体験談は誘引性がないとして広告と見なしません。一方、施術所の依頼に基づくもの、謝礼を払ったもの、経営者の家族が書いたものは誘引性があるとしています[1]。効果を語る感想は、再投稿しないのが安全です。口コミへの返信でも「腰痛が治ってよかったです」のように効果を認める書き方は避け、「ご来店ありがとうございました。またのご予約をお待ちしています」のように事実とお礼にとどめます。返信の例は口コミ返信の例文 業種別にもあります。
| 載せ方 | 扱いの考え方 |
|---|---|
| 「腰痛が楽になった」など効果を語る声 | 症状への施術の表現・根拠の求めの対象になり得る |
| 予約の取りやすさ、店の清潔さ、説明の分かりやすさについての声 | 施術の効果を語らないので、事実に沿っていれば載せやすい |
| 謝礼と引き換えに書いてもらった口コミ | 都合のよい感想への誘導として載せるべきでない。ステルスマーケティングの問題もある |
| 施術前後の姿勢の写真 | 撮影条件の違い・加工で効果を強調すると誇大・虚偽の扱い |
| 施術室・施術の様子の写真 | 効果を示さないので載せやすい |
表の扱いは、ガイドライン第Ⅵ章・第Ⅶ章と、消費者庁の不実証広告規制の説明をもとにまとめています[1][3]。お客様の声とステマ規制の全体はお客様の声・口コミとステマ規制にまとめています。医療機関で体験談が載せられない理由はクリニックのホームページに口コミや体験談を載せられない理由にまとめています。
料金・回数券・キャンペーンは、どう書けば決まりに沿う?
整体院の料金は、安さを過度に強調せず、1回の料金・回数券の内容・有効期限・解約の条件を同じ大きさで書けば、ガイドラインの考え方に沿います[1]。ガイドライン第Ⅶ章は、利用者に費用の安さなどを過度に強調・誇張することを、不当に誘引するおそれがあるとして掲載すべきでないとしています[1]。
景品表示法は、価格などの取引条件を実際より著しく有利と誤認させる表示(有利誤認表示)も禁じています[6]。消費者庁は、基本価格を書かずに「今なら半額!」と表示し、実際には50%割引とは認められない料金だった例を挙げています[6]。「通常8,000円が今だけ初回2,000円」と書くなら、通常の料金で実際に受けている人がいることが前提になります。期限を区切る場合は、その期限を本当に守る必要があります。回数券の有効期限が過ぎた分を払い戻すかどうか、途中でやめたときにどう精算するかも、買う前に読める場所に書いておくと、後の行き違いを防げます。
| 例 | 書き方 | 避ける例 | 書ける例 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 1回の料金 | 「業界最安値」 | 60分 6,000円(税込) |
| 例2 | 初回の料金 | 「今だけ半額!残りわずか」 | 初回は60分 4,000円(税込・カウンセリングを含む) |
| 例3 | 回数券 | 「まとめて買うほどお得」だけ | 5回券 27,000円(税込)・有効期限6か月・未使用分の払い戻しの条件 |
| 例4 | キャンペーン | 終わらない期間限定 | ○月○日〜○月○日の予約に限り○○円 |
| 例5 | 追加料金 | 書かずに当日請求 | 延長15分 1,500円(税込) |
国家資格の施術所向けの第Ⅵ章は、回数券やプリペイドカードを売る場合、商品の内容や契約内容を利用者が正確に理解して購入できるよう表示することを求めています[1]。整体院でも同じ書き方にしておくと、解約や返金の相談のときに説明しやすくなります。消費者庁の注意喚起も、トラブルの解決が難しいときは消費生活センターに相談するよう呼びかけています[2]。料金と返金の書き方はパーソナルジムの料金と返金保証の書き方、事業者の表記は特商法の表記でも扱っています。
安全のための案内は、なぜ整体院のサイトに載せたほうがよい?
整体院のサイトに安全の案内を載せるのは、資格制度のない手技の施術で事故の情報が寄せられており、消費者庁が利用者に具体的な注意を呼びかけているためです[2]。消費者庁の注意喚起では、2009年9月1日から2017年3月末までの登録分で1,483件の事故情報がありました。そのうち治療期間が1か月以上となる神経・脊髄の損傷などは240件(約16%)です(2026年10月29日確認)[2]。
| 1か月以上 | 16%(240件) |
|---|---|
| 3週間〜1か月 | 9%(133件) |
| 1〜2週間 | 9%(140件) |
| 1週間未満 | 8%(120件) |
| 医者にかからず | 22%(333件) |
消費者庁の資料によると、手技の内容別では「整体」「リラクゼーションマッサージ」「カイロプラクティック」などの事故が多くなっています。特に「整体」「カイロプラクティック」などは、治療期間が1か月以上となる事故の割合が高いとされています[2]。症状では「神経・脊髄の損傷」が最も多く、事故全体の約8割が女性、治療期間が1か月以上となる事故は60歳代以上で発生する比率が高いとされています[2]。
消費者庁は、施術を受ける人に向けて次の5点を勧めています[2]。整体院のホームページは、この5点に答える形で書くと、効果をうたわなくても選ぶ材料がそろいます。
- 疾病がある方は施術を受ける前に医師に相談する → 「持病・通院中の方は事前に医師へ」の一文
- 情報を見極めて施術や施術者を慎重に選ぶ → 施術者の名前、施術の流れ、1回の時間、料金
- 施術者に体調や希望をしっかり伝える → 初回に伺う内容(問診票の項目)
- 施術後に異常を感じたら施設に伝え、早めに医師に相談する → 施術後の連絡先と受付時間
- 解決が難しいときは消費生活センターに相談する → 回数券の解約・返金の条件を明記
この形の文は、検索やAIの回答(ChatGPTやGoogleのAIによる概要)で店が紹介されるときの材料になります。安全の案内は効果の宣伝ではないので、ガイドラインの8項目にも当たりません[1]。
安全の案内は、ページのどこに置くかも大切です。料金表の下、予約ボタンの手前、初めての方へのページの3か所に同じ文を置くと、予約の前に必ず目に入ります。施術後に体調の変化があったときの連絡先は、電話番号と受付時間を書き、受付時間外にどうすればよいか(医療機関の受診を勧めるなど)も添えます。消費者庁が勧める「施術を受けた後で異常を感じた場合は、すぐに施術を受けた施設や運営者に伝え、なるべく早く医師に相談」という順番に合わせた書き方です[2]。問診票を使っている場合は、その項目(持病、通院中の病気、服薬、妊娠の有無、手術歴、痛む場所)をページにも並べておくと、初めての人が準備しやすくなります。
整体院のホームページは、どの順で見直せばよい?
整体院のホームページは、言葉の洗い出し、見出しと本文の書き直し、名称と写真の確認、料金と安全の案内の追加、専門家への確認の順で見直します[1][3]。Googleビジネスプロフィールの説明文とSNSのプロフィール文も、同じ順で見直します。
- 言葉を洗い出す
ホームページ、Googleビジネスプロフィール、SNSで「治」「改善」「痛」「こり」「専門」「No.1」「%」を検索し、出てきた文を一覧にします。 - 見出しから書き直す
症状名を使った見出しを「施術の流れ」「料金」「初めての方へ」などに変え、本文を「何を・どのくらい・いくら」の文に直します。 - 名称と写真を見直す
院名・メニュー名・写真で、国家資格の施術や医療機関に見えるものがないか確かめます。 - 料金と安全の案内を足す
料金・回数券の条件と、医師への相談・施術後の連絡先を料金表の近くに入れます。 - 迷う表現を確かめる
判断に迷う表現は、広告や景品表示法に詳しい専門家に確かめます。
見直しはホームページだけでは終わりません。ほかの媒体にも、同じ言葉が残っていることが多いためです。チラシ、店頭の看板、のぼり、紹介サイトの掲載文、予約サイトのメニュー説明も見ます。Googleビジネスプロフィールの説明文と投稿、SNSのプロフィール文と固定の投稿も同じです。媒体ごとに一覧の表を作り、「書き直した日」を横に書いておくと、残っている所が分かります。予約サイトに載せている文は、予約サイトの管理画面から直す必要があります。
書き直した後は、店名で検索して出てくる文や、ChatGPTなどに「○○(店名)はどんな整体院か」と聞いたときの答えに、古い言葉が残っていないかを時々確かめます。検索やAIの回答は、ホームページだけでなく、紹介サイトや口コミの文も材料にするためです。古い紹介サイトの掲載をやめた場合は、その掲載ページが削除されたかも確かめてください。
業種ごとにどの法律が広告にかかるかは業種別の広告規制の早見表で一覧できます。Googleビジネスプロフィールの説明文の書き方はGoogleビジネスプロフィールの登録方法と説明文の書き方を見てください。厚生労働省の関連規程のページには、ガイドラインの本文と概要がまとめて載っています[5]。
よくある質問
- お客様の声で「腰痛が楽になった」と載せるのはだめですか?
- 店が選んで載せる以上、お客様の声も店の表示として扱われ、景品表示法の根拠の求めの対象になり得ます。2025年のあはき・柔整広告ガイドラインも、腰痛などの症状への施術の表現をホームページに載せるべきでないとしています。効果を語る声は外し、接客や予約のしやすさなど事実に沿った声にとどめるのが安全です。
- 民間の「整体師」の資格は書いてよいですか?
- 民間資格を書くこと自体を禁じる条文はありません。ただしあはき・柔整広告ガイドラインは、国家資格を必要とする業を行っていると誤認させる表示を不適切としています。「○○協会認定(民間資格)」のように発行元と民間資格であることを添えて書いてください。
- 「肩こり」と書かずに「首・肩まわりの施術」なら大丈夫ですか?
- あはき・柔整広告ガイドラインが避けるよう示しているのは、痛み症状や慢性の肩こり・疲労などの「症状に対する施術」の表現です。施術する体の部位を説明すること自体は例に挙がっていませんが、症状を暗示する書き方になっていないかは文脈で判断されます。迷う場合は専門家に確かめてください。
- 整体院のホームページは柔道整復師法やあはき師法の対象ですか?
- 両法の広告の制限は、柔道整復やあん摩マッサージ指圧などの業務・施術所に関するものです。整体の広告には、あはき・柔整広告ガイドライン第Ⅶ章が自主的な取組の目安を示し、景品表示法などの一般の法律がかかります。国家資格の業務を行っているように見せると、別の問題になります。
- 「骨盤矯正」というメニュー名は使えますか?
- あはき・柔整広告ガイドラインは、国家資格の施術所の名称に「骨盤矯正」「姿勢改善」など効能を含む語を入れることを広告不可の例にしています。整体院のメニュー名を直接定めた記述はありませんが、効果を約束する説明と組み合わせると景品表示法の根拠の求めの対象になり得ます。施術の内容と時間を中心に説明してください。
- 誤って書いてしまった表示でも問題になりますか?
- 消費者庁は、誤って表示してしまった場合でも、優良誤認表示に当たれば景品表示法の規制の対象になると説明しています。気付いた時点で表示を直し、Googleビジネスプロフィールやチラシなど同じ文を使っている所もそろえて直してください。
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