ホームページにお客様の声を載せること自体は禁止されていません。分かれ目は、事業者が「選んだ・頼んだ・直させた」かどうかです。関与したなら、事業者の表示(広告)であることを分かるようにしないと、2023年10月1日からの景品表示法の不当表示(ステマ告示)に当たります。
| やり方 | 判定 | 出典 |
|---|---|---|
| アンケートの回答から無作為に選び、内容を変えずに引用する | やってよい | Q&A Q10 |
| 内容を指示せずに、口コミの投稿を条件に割引・クーポンを出す | 景品表示法では通常問題なし。ただし Google のクチコミでは禁止 | Q&A Q6・Q7、Google |
| 好意的な回答だけを選ぶ・「良い点」だけを抜き出す | 明示すればよい(明示しなければ違反) | Q&A Q10 |
| 販売を進める立場の従業員が、自分の SNS で自社の商品を紹介する | 明示すればよい(「社員です」だけでは足りないことがある) | Q&A Q3・Q12 |
| 依頼したインフルエンサーの投稿を「お客様の声」の欄に並べる | いけない。載せるなら依頼した投稿だと示す | Q&A Q16 |
| 「星5」や推奨のコメントを条件に割引する | 事業者の表示になる。明示しなければ違反(Google のクチコミでは見返り自体が禁止) | Q&A Q6 |
| 届いた感想を、自社に都合のよい内容に直すよう頼む | 事業者の表示になる。明示しなければ違反。事実の誤りや他社への中傷の修正を頼むだけなら可 | Q&A Q9 |
| 効果をうたう体験談に「※個人の感想です」と添えるだけ | いけないおそれ(打消しがあっても受け止め方はほぼ変わらない) | 消費者庁の実態調査 |
ステマ規制とは?誰が対象で、違反するとどうなる?
消費者庁は、「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すこと」をステルスマーケティングと説明しています。内閣府告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(2023年3月28日内閣府告示第19号)が景品表示法第5条第3号の不当表示に指定され、2023年10月1日から施行されました(出典:消費者庁『令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。』)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる人 | 商品やサービスを供給する事業者(広告主)。依頼を受けて投稿したインフルエンサー等の第三者は、原則として対象外 |
| 対象になる表示 | ホームページ、SNS 投稿、レビュー投稿のほか、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌も |
| 対象外 | 個人の感想など広告でない物、テレビ CM のように広告と分かる物 |
| 違反したとき | 措置命令(行政処分)。ステマ告示の違反そのものは課徴金の対象外だが、内容に優良誤認・有利誤認があれば課徴金の対象になりうる。措置命令に違反すると2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(第46条) |
出典:消費者庁『ステルスマーケティングに関するQ&A』Q1・Q2、e-Gov法令検索『不当景品類及び不当表示防止法』第5条・第8条・第46条(2026年10月時点の条文)
自社のホームページでの表示は、原則として「事業者の表示であることが明瞭」な物とされています。ただし、第三者の客観的な意見のように見えるページ(お客様の声など)で、実際には事業者が依頼・指示したり自分で作ったりしている場合は、そのことを明瞭にする必要があります(出典:消費者庁『「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準』)。
「選んで載せる」ときは何と書けばいい?
多くの事業者は、届いた感想の中から載せる物を選んでいます。選んだ時点で事業者の表示になるため、そのことが表示全体から分かるようにします。運用基準は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章を例に挙げ、Q&A はほかの書き方でも、表示全体から事業者の表示だと明瞭なら認められるとしています(Q11)。
| 場面 | 注記の例(置く場所) |
|---|---|
| 届いた感想から選んで載せる | 「いただいた感想の中から、掲載の許可をいただいたものを当社が選んで載せています」(見出しのすぐ近く) |
| 商品やサービスを無償で渡した人の感想 | 「当社がサービスを無償で提供した方の感想です」(その感想のすぐ近く) |
| 依頼した専門家のコメント | 「当社が依頼していただいたコメントを編集して掲載しています」(そのコメントの付近。運用基準の例) |
| 依頼したインフルエンサーの投稿を転載する | 「広告」「PR」と、当社が依頼した投稿であること(その投稿のすぐ近く。「お客様の声」の欄には置かない) |
上の文例は書き方の一例で、十分かどうかは文字の大きさや位置を含めた表示全体で判断されます。Q&A はアフィリエイトサイトの例で、サイトの冒頭に一度書くだけでは足りず、第三者の意見と誤認されうる部分の近くに表示が必要な場合があるとしています(Q13)。迷う場合は専門家に確認してください。
体験談に「個人の感想です」と書けば大丈夫?
効果や成果をうたう体験談は、ステマ規制とは別に、優良誤認表示の面で注意が要ります。消費者庁が2017年に公表した実態調査は、体験談4つと「※個人の感想です。効果には個人差があります。」の打消し表示を入れた広告の例を見せ、体験談に気付いた443人の受け止め方を調べています。
| 体験談に気付いた人が抱いた認識 | 443人中の割合 |
|---|---|
| 「体験談と同じような効果」が得られる人がいる | 53.0% |
| 「大体の人」が効果を得られる | 42.2% |
| 「自分に効果がある」 | 39.3% |
出典:消費者庁『打消し表示に関する実態調査報告書(概要)』(2017年)
1回目に打消し表示に気付かなかった369人に見せ直しても、「『大体の人』が効果を得られる」と思う人は42.8%から36.6%に下がっただけでした。報告書は、実際には効果を得られない人が相当数いるのに効果があった体験談を載せると、打消し表示が明瞭でも問題となるおそれがあるとし、調査の人数と属性、効果が得られた人と得られなかった人の割合などを明瞭に示すべきとしています。消費者庁は表示の裏付けとなる資料の提出を求めることができ、出さなければ優良誤認表示とみなされます(景品表示法第7条第2項)。「必ず」「誰でも○日で」を体験談の形で載せる前に、裏付けの記録があるかを確かめます。
お客様の声のページはどう作る?載せる前の7つの手順
- 集め方をそろえる:サービスの後に全員へ同じ質問のアンケートを渡すなど
- 掲載の許可を取る:本文、名前の出し方(イニシャル・地域・年代など)、写真の有無を本人に確かめる
- 選び方を決めて書く:無作為か、選んで載せるか。選ぶなら、見出しの近くにその一文を置く
- 内容を変えない:要約や言い換えをしない。良い点と悪い点の両方が書かれていたら、片方だけを抜き出さない
- 依頼・提供の関係を示す:無償で渡した人、報酬を払った人、依頼した専門家の投稿やコメントには、そのすぐ近くに関係を書く
- 効果の表現を確かめる:効果をうたう体験談には、裏付けの人数と効果が得られなかった人の割合を添えるか、載せないかを決める
- 時期を書く:いつ頃の利用かを添えると、内容が古くなったときに見直しやすい
あわせて、社員や家族・取引先が書いた感想が混ざっていないか、「100%満足」のように母数の分からない数字を書いていないか、過去に依頼した投稿を依頼の表示なしで転載していないかも見直します。
Googleの口コミを頼むときは何が違う?
景品表示法で問題にならない頼み方でも、Google のクチコミでは認められないことがあります。Google は、投稿や評価の修正・削除と引き換えに割引や無料のサービスなどを渡すこと、肯定的なクチコミを選んで募ることを禁止しています(出典:Google『禁止または制限されているコンテンツ』)。お願いの仕方・やってはいけない頼み方・返信の例文は、Google口コミの返信例文|良い・悪い口コミと返信できない時の対処にまとめています。
次にやること
- 今のお客様の声のページを、冒頭の線引き表に当てはめる
- 選んで載せているなら、見出しの近くにその一文を置く
- 効果をうたう体験談は、裏付けの記録があるかを確かめ、無ければ外す
注記の追加や文言の修正は、実際のページで目立つ位置に出ているかまで確かめます。暖簾AIの運用アプリの「ページ編集」では、実物の見た目のまま注記を足して反映できます。特定商取引法の表記は特定商取引法に基づく表記は必要?で扱っています。個別の表示が告示や景品表示法に当たるかの判断は、消費者庁の窓口や弁護士などの専門家に確認してください。
よくある質問
- ステマ規制に違反すると罰金や課徴金はありますか?
- 消費者庁は、ステマ告示に違反する行為には措置命令を行い、課徴金納付命令の対象にはならないとしています。ただし、表示の内容に優良誤認表示や有利誤認表示が含まれる場合は、課徴金の対象になることがあります。なお、措置命令に違反した場合は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています(景品表示法第46条)。
- 投稿を頼んだインフルエンサー本人も規制の対象ですか?
- 消費者庁のQ&Aでは、規制の対象は表示内容の決定に関与した広告主で、依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターは原則として対象外とされています。インフルエンサーが広告主と共同して商品等を供給している例外的な場合は対象になります。
- Googleのクチコミを書いてくれたお客様に割引をしてもいいですか?
- 内容を指示しない割引は、消費者庁のQ&Aでは通常ステマ告示に違反しないと考えられています。一方、Googleのポリシーは、クチコミの投稿と引き換えに割引などのインセンティブを提供する行為を禁止しているため、Googleのクチコミでは行わないでください。
- お客様の声に写真を載せるときに気をつけることは?
- 本人や写っている人に掲載の了解を取り、写真を誰が撮ったものかも確かめてください。写真の著作権の考え方は、別の記事で文化庁の資料をもとにまとめています。
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