エステの初回体験価格に「通常価格」を並べると、どんな決まりがかかる?
エステの初回体験価格に「通常価格」を並べる表示には、景品表示法の二重価格表示の考え方がかかります[6]。二重価格表示とは、自分の販売価格に、それより高い別の価格(比較対照価格)を並べて示す表示のことです[1]。比較対照価格の中身が適正でないと、景品表示法第5条第2号の有利誤認表示にあたるおそれがあります[7]。有利誤認表示とは、取引の条件を実際より著しく有利だと消費者に誤認させる表示のことです[7]。
消費者庁は、どのような価格表示が問題になるおそれがあるかを「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(以下、価格表示ガイドライン。平成12年6月30日公正取引委員会、平成28年4月1日消費者庁改定)にまとめ、景品表示法関係のガイドラインの一覧に載せています[2]。ガイドラインは主に商品の小売を例に書かれていますが、その考え方は基本的に役務(サービス)の価格表示にも適用されるとしています[1]。エステの施術も同じ考え方で見られます。
エステサロンの体験価格を、「初回3,980円」のように通常より安い価格を大きく出し、その横に「通常12,000円」を並べる形で表示することがあります。この形で問題になりやすい点は、次の5つに分けられます。
| 問題になりやすい点 | ガイドラインの考え方 | この記事の節 |
|---|---|---|
| 「通常価格」で実際には受け付けていない | 最近相当期間にわたって販売されていた価格とはいえない価格を、その内容を正確に示さずに比べると不当表示のおそれ | 8週間・過半・2週間のルール |
| 新しいメニューに「通常価格」を付ける | 販売実績のない商品の価格を「当店通常価格」等として比べることは不当表示のおそれ | 新メニュー・将来価格 |
| 初回だけの価格であることが分かりにくい | 価格が適用される顧客の条件を正確に表示する必要がある | 初回価格と2回目以降の価格 |
| 期限つきの特典が実際は期限後も同じ | 表示した期限内に限るかのような表示が実際と違うと問題になりうる(消費者庁の処分の例) | 体験当日の契約特典 |
| 条件や別料金が小さい・離れている | 打消し表示が強調表示から離れていると気付かれないおそれ | 条件を書く場所 |
施術の効果を書く言葉の決まり(医師法・薬機法・景品表示法の優良誤認)はエステサロンの広告で使えない言葉は?で、業種ごとの広告の決まりの全体は医療・美容・不動産・士業・飲食の広告の決まり早見表で扱っています。この記事は、価格の見せ方だけに絞ります。
「通常価格」は、どんな条件なら並べてよい?
エステの「通常価格」を並べてよい一般的な目安は、さかのぼる8週間の過半の期間その価格で受け付け、通算2週間以上、最後の受付から2週間未満であることです[1]。
比べる価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」にあたるかは、個々の事案ごとに検討されます[1]。そのうえで価格表示ガイドラインは、一般的な目安を次のように示しています[1]。
| 確かめること | 基準 | エステでの数え方の例 |
|---|---|---|
| 見る期間 | 二重価格表示を始める時点からさかのぼる8週間(販売していた期間が8週間未満なら、その期間) | 11月1日から体験価格を出すなら、9月6日〜10月31日の8週間 |
| その価格で売っていた長さ | 見る期間のうち過半の期間、その価格で販売していた | 8週間のうち4週間を超えて、12,000円でメニューに載せて受け付けていた |
| 短すぎないか | その価格で販売していた期間が通算2週間未満なら、あてはまらない | メニューを始めて10日しかたっていない |
| 古すぎないか | その価格で販売した最後の日から2週間以上たっていたら、あてはまらない | 夏に値下げして、12,000円で最後に受け付けたのが3週間前 |
数え方を、架空のフェイシャル(12,000円)で週ごとに並べると次のようになります。体験価格を11月1日から出す場合です。
| 週 | 店Aの価格 | 店Bの価格 | 店Cの価格 |
|---|---|---|---|
| 9月6日〜 | 12,000円 | 12,000円 | (未発売) |
| 9月13日〜 | 12,000円 | 12,000円 | (未発売) |
| 9月20日〜 | 9,800円(秋のキャンペーン) | 9,800円 | (未発売) |
| 9月27日〜 | 12,000円 | 9,800円 | (未発売) |
| 10月4日〜 | 12,000円 | 9,800円 | (未発売) |
| 10月11日〜 | 9,800円(秋のキャンペーン) | 9,800円 | (未発売) |
| 10月18日〜 | 12,000円 | 9,800円 | 12,000円で発売 |
| 10月25日〜 | 12,000円 | 9,800円 | 12,000円 |
| 12,000円の週の合計 | 6週(過半) | 2週(過半でない) | 2週(販売期間2週のうち全部) |
| 目安に照らすと | 並べやすい | 「通常12,000円」とは言えない | 販売期間は満たすが、セールを決めた後に発売したなら実績作りとみられるおそれ |
店A〜Cは説明のための架空の店です。判断は目安に照らした読み方で、個々の事案の結論を示すものではありません。
店Cのように、販売していた期間が8週間に満たない場合は、その販売期間のなかで過半かどうかを見ます[1]。ただし通算2週間未満なら、目安にあてはまりません[1]。セールを決めた後に売り始めたメニューは、期間を正確に書いても不当表示のおそれがあるとされています[1]。新メニューの扱いは後の節で詳しく書きます。
「定価」「正規価格」「セール前価格」と呼び方を変えても、考え方は同じです。価格の中身が書かれていないと、消費者は通常「セール前にしばらくその価格で売っていた」と受け取る、とガイドラインは考えています[1]。
「通常価格」を並べてよいかの確かめ方
確かめる順番価格表示ガイドラインの一般的な目安を順に並べた概念図です。個々の事案は時期・価格の動き・販売の形を考えて判断されます。
「販売されていた」とは、通常の販売活動でその価格で売っていたことをいい、実際に購入された実績までは要らないとされています[1]。一方で、比べる価格を作るための実績作りとして一時的にその価格で売っていたとみられる場合は、「販売されていた」とはみられないとしています[1]。
エステに当てはめると、次のようになります。
- 12,000円のフェイシャルを、過去8週間のうち5週間以上、その価格でメニューに載せて受けていた → 「通常12,000円」と並べやすい
- 12,000円で載せていたのは最初の2週間だけで、その後6週間は9,800円だった → 「通常12,000円」とは言えない(ガイドラインの事例と同じ型)[1]
- 12,000円で受けた人がほとんどいない → 通常の販売活動として12,000円で受け付けていれば、購入の実績までは要らないとされる。ただし比べる価格を作るための形だけの掲載とみられないよう、実際にその価格で予約を受けられる状態にしておく
目安を満たさない価格でも、「いつの時点で、どのくらいの期間その価格だったか」を正確に書けば、直ちに不当表示とされるわけではないとガイドラインは読めます[1]。ただし、エステのページで期間の説明を正確に書き続けるのは手間がかかります。判断に迷うときは、「通常価格」という言葉を使わず、2回目以降の価格をそのまま書く形(後の節)にすると、比べる価格の根拠を問われる場面が減ります。
キャンペーンをくり返している店は、8週間をどう数える?
エステでキャンペーンを断続的にくり返している場合、8週間の数え方は「連続した期間」ではなく、比べる価格で受け付けていた期間を全体として見ます[1]。
価格表示ガイドラインは、「相当期間」は連続した期間に限らないとしています[1]。セールを断続的に行う場合は、比べる価格で売っていた期間を全体として見ます[1]。たとえば8週間のうち、通常価格の週とキャンペーンの週が交互に来ているなら、通常価格の週を足し合わせて過半になるかを見ます。
キャンペーンが続いて、通常価格で受け付けた期間の方が短くなっている店では、「通常価格」の表示が目安を満たさなくなります。次のような店は特に確かめます。
| 店の状態 | 起きやすいこと | 確かめること |
|---|---|---|
| 毎月ちがう名前のキャンペーンを出している | キャンペーン価格の期間の合計が8週間の過半を超える | 通常価格で受け付けた週を台帳で数える |
| 予約サイトでは常に割引、店頭とホームページは通常価格 | どこで予約した人に何円が適用されるかが分かりにくい | 掲載先ごとの価格と条件を同じ表にそろえる |
| キャンペーンの直前にメニューの価格を上げた | 上げた価格を基に割引率を出すことになる | 価格を上げた日と割引を始めた日の間をあける・割引率の表示をやめる |
| 新しく始めた施術をいきなり割引で出す | セールを決めた後に販売を始めた商品にあたる | 比べる価格を出さず、価格だけを書く |
割引率や割引額の表示(例:「初回50%オフ」)も、基本的に二重価格表示と同じ考え方で見るとされています[1]。ガイドラインが不当表示のおそれのある例に挙げるのは、次の2つです[1]。
- 表示価格をいったん引き上げてから、割引率を表示する
- セールを決めた後に売り始めた商品に、割引率を表示する
「全メニュー30%オフ」のような一括の割引率は、基になる価格・対象の範囲・条件を明示する必要があるとしています[1]。
予約サイトと自社の予約で価格を分ける場合の考え方は、美容室が予約サイト以外で予約を取る順番でも扱っています。
新しいメニューや「来月から値上げ」の価格は並べられる?
エステの新しいメニューに「通常価格」を並べたり、上げる予定のない「来月から〇円」を並べたりする表示は、不当表示にあたるおそれがあります[1]。
価格表示ガイドラインは、次の2つを不当表示のおそれのある例に挙げています[1]。
- 販売実績のない商品や、セール直前に売り始めた商品の価格を「当店通常価格」などと呼んで比べる
- セールを決めた後に売り始めた商品の、セール前の価格と比べる(実績作りとみられるため、期間を正確に書いても問題になりうる)
「オープン記念 体験4,980円(〇月以降は9,800円)」は、将来の価格と比べる表示です。ガイドラインは、将来の価格で売ることが確かな場合以外は、この形は適切でないとしています[1]。事例には、「○月○日以降は6,000円」と書きながら、その後も4,800円で売っていた例があります[1]。予定より長く体験価格を続けた場合や、将来価格で受け付ける期間がごく短い場合は、問題になるおそれがあります。
新メニューの体験価格の書き方:説明用の架空例
前と後「新メニュー 通常9,800円 → 初回4,980円」9,800円で受け付けた実績がなく、通常価格と呼べるか分からない
- メニュー〇〇フェイシャル 60分
- 価格9,800円(税込)
- 初めての方4,980円(税込)・1回のみ
- 含まれるものカウンセリング・クレンジング
- 別料金ホームケア用品(購入は任意)
架空の店の書き方の例です。金額は説明のための数字で、相場を示すものではありません。
| 例 | 書ける例 | 避けたい例 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 新メニュー「〇〇フェイシャル」60分 9,800円(税込)。初めての方は4,980円(税込) | 新メニュー 通常9,800円→初回4,980円(9,800円で受けた実績がない) | 実績のない価格を「通常」と呼ばない |
| 例2 | 〇月〇日から料金を9,800円(税込)に改定します(改定後も同じ価格で受け付ける) | 今だけ4,980円、来月から9,800円(来月以降も4,980円で続ける) | 将来価格で販売することが確かな場合に限る |
| 例3 | オープンから〇月〇日までにご予約の方は4,980円(税込)。以降は9,800円(税込)で受け付けます | オープン記念価格を期限なしで出し続ける | 期限と、その後の価格を実際に守る |
オープン前後の価格は、開業の準備のなかで決めることが多い項目です。料金の書き方を業種ごとに見たい場合は、リフォーム会社の「〇〇円から」の表示と景品表示法やパーソナルジムの料金と返金保証の書き方も参考になります。
初回価格と2回目以降の価格は、どう並べればよい?
エステの初回価格と2回目以降の価格は、それぞれの価格が適用される条件と、含まれるもの・別料金を同じ表に並べて示します[1]。
初回体験の価格は「初めての方」という条件を満たす人だけの価格です。客ごとに価格が違うときは、それぞれの価格が適用される顧客の条件を正確に示す必要があるとされています[1]。条件を実際と違って書いたり、あいまいに書いたりすると、不当表示にあたるおそれがあります。
ガイドラインは、価格を示すときは次の3つを正確に示す必要があるとしています[1]。
- 販売価格
- その価格に含まれる範囲(一緒に提供される物があるか)
- その価格が使える客の条件
別料金があるのにそれを書かない表示は、不当表示のおそれがあるとされています[1]。エステでは、カウンセリング料・化粧品代・指名料などが当たります。
次のように、価格と条件を同じ表に並べると、読む人が取り違えにくくなります。
| メニュー | 初めての方(1回のみ) | 2回目以降(1回) | 含まれるもの・別料金 |
|---|---|---|---|
| フェイシャル 60分 | 4,980円(税込) | 9,800円(税込) | カウンセリング・クレンジング含む。ホームケア用品の購入は任意 |
| ボディ 90分 | 6,600円(税込) | 14,300円(税込) | 着替え・シャワー含む |
表の金額は説明のための架空の数字です。
価格は消費税込みの総額で書きます。国税庁の「No.6902『総額表示』の義務付け」は、消費者に前もって価格を示すときは税込価格で示す決まりです[4]。店頭・チラシ・広告など、媒体は問わないとされています[4]。同じページは「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」などの書き方を例に挙げています[4]。
「初めての方」の範囲も書いておきます。たとえば、次のどれを「初めて」と数えるかで、お客様の受け止め方が変わります。
- 店そのものを初めて使う人だけか、そのメニューを初めて受ける人も含むか
- 以前に来店して1年以上たった人を含むか
- 予約サイト経由で初回価格を使った人が、ホームページから再び初回価格で予約できるか
決めた範囲は、価格のすぐ下に短い文で書きます。書き方の例は次のとおりです。
- 「初めての方」とは、当店のご利用が初めての方です。ほかのメニューを受けたことがある方は対象外です。
- 初回価格は、お一人さま1回限りです。予約サイトと当店のホームページのどちらから予約しても、使えるのは1回です。
- 前回のご来店から1年以上たった方は、もう一度初回価格で受けられます(受付で確かめます)。
受付で「初めて」かどうかを確かめる方法(会員の記録・予約の記録)も決めておきます。条件を書いても受付で確かめられないと、表示と実際の受け付け方がずれる原因になります。
「会員価格」と「一般価格」を並べるときも注意が要ります。誰でもすぐ会員になれて一般価格で買う人がほとんどいないなら、不当表示のおそれがある例にあたります[1]。需要の多い時期だけの価格を「標準料金」と呼んで比べることも、同じく例に挙がっています[1]。平日と土日のそれぞれの価格と適用される曜日を書いて並べる形なら、2つの現在の価格を並べることになり、土日の価格を「通常」と呼ぶ形より誤解されにくくなります。
「体験当日のご契約で入会金無料」は書いてよい?処分の例は?
エステの「体験当日のご契約で入会金無料」「〇日までのお申込みで〇%オフ」は、表示した期限や条件を実際に守っている場合に限って書けます[8]。
消費者庁の令和6年度の運用状況の報告(令和7年5月29日公表)には、エステに近い役務の価格表示の処分が載っています[8]。
| 役務の種類 | 表示の内容(要約) | 実際(消費者庁の認定・疑い) |
|---|---|---|
| パーソナルジム(確約計画の認定) | 表示の期限までに無料体験をし、体験当日に入会した場合に限り、通常5万円の入会金が値引きされるかのように表示 | 期限後でも体験当日に入会すれば値引きされるものである疑いがあった。入会者への入会金の一部の返金などを含む確約計画が認定された |
| 通信講座(措置命令) | 期限を示したキャンペーンで「通常価格」から割り引くと表示。別の表示では期限内の申込みに限り割り引くかのように表示 | 「通常価格」は自社サイトで申し込んだ場合に提供された実績がなかった。期限後に申し込んでも同じ割引価格だった |
| ネイルスクール(措置命令) | 「今だけ授業料50%割引」「通常授業料」と割引後の授業料を表示 | 「通常授業料」は最近相当期間にわたって提供された実績がなかった |
出典:消費者庁「令和6年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組」別紙。事業者名は省き、表示と実際の要点だけをまとめました。
エステで「体験当日のご契約に限り」と書く場合は、次を確かめます。
- 翌日以降に契約した人にも同じ特典を付けていないか(付けているなら「当日に限り」とは書かない)
- 特典の基になる入会金や通常の料金を、実際に受け取っているか
- 期限を過ぎたあと、同じ内容のキャンペーンを名前だけ変えて続けていないか
- 当日の契約を急がせる書き方が、コース契約の判断を急がせることにならないか(コースの決まりは後の節)
ジムの料金や返金の書き方はパーソナルジムの料金と返金保証の書き方で詳しく扱っています。
価格の表示が問題になった件数も見ておきます。消費者庁が令和6年度に扱った表示事件のうち、価格や取引条件の表示(有利誤認表示)の件数は、次の図の濃い棒のとおりです[8]。
同じ報告によると、令和6年度の消費者庁の処理は、措置命令26件、確約計画の認定1件、課徴金納付命令7件、指導339件などでした[8]。課徴金納付命令7件の課徴金の合計は19億2696万円です[8]。なお報告は、課徴金額が150万円未満となる場合には課徴金を課さないとされている(規模基準)ことも書いています[8]。
| 関係法条 | 措置命令・確約計画の認定 | 指導 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 第5条第1号(優良誤認) | 14件 | 298件 | 312件 |
| 第5条第2号(有利誤認) | 8件 | 21件 | 29件 |
| 第5条第3号 | 5件 | 19件 | 24件 |
令和6年度の措置命令の一覧には、価格の表示の件も並んでいます[8]。葬儀サービス、通信講座、居酒屋の料理、家具、ネイル講座です。このうち葬儀サービスと通信講座の件では、「通常価格」と称する価額が提供された実績のないものだったと書かれています[8]。エステも、料金をホームページで示して申込みを受ける役務という点で、同じ形の表示になりえます。
報告には、確約手続が令和6年10月1日施行の改正景品表示法で新設されたことも書かれています[8]。数字は令和6年度(令和6年4月1日〜令和7年3月31日)のもので、2026年10月29日に確かめた時点の最新の公表分です。
条件や別料金は、ページのどこに書けば伝わる?
エステの初回価格の条件や別料金は、大きく出した価格と同じ画面に、価格と比べて極端に小さくない文字で書きます[3]。
打消し表示とは、強調した表示に例外や条件があるときに、その旨を示す表示のことです[3]。消費者庁の打消し表示の留意点によると、スクロールが要る場所の打消し表示は、同じ画面のものより読まれない傾向がみられました[3]。強調表示から1スクロール以上離れた条件は、正しく認識されない場合があるとしています[3]。
同じ資料は、スマートフォンのページで特に次の点を挙げています[3]。
- タップで開く欄(アコーディオンパネル):中に条件を入れるなら、強調表示に近い所にラベルを置くか、条件そのものを強調表示のすぐ隣にも書くことが求められる
- 申込みボタンの位置:ボタンが強調表示と同じ画面にあり、条件が別の画面にあると、条件に気付かないままボタンを押すおそれがある
- 文字の大きさと背景:打消し表示の文字の大きさや、文字と背景の色・模様の区別
体験ページの1画面に入れるもの
対象と対象外- ページの最下部だけに条件
- タップで開く欄の中だけに条件
- 予約ボタンより下にだけ別料金
消費者庁の打消し表示の留意点をもとにした概念図です。画面の見本ではありません。
書く内容についても、同じ資料は型ごとに注意を挙げています[3]。エステの体験ページに当てはめると、次のとおりです。
| 打消し表示の型 | 資料の考え方(要約) | エステでの例 |
|---|---|---|
| 別条件型 | 割引の期間や料金を強調する一方、適用の別の条件が分かりにくいと、条件なしで使えると受け取られる | 「初回4,980円」の条件(初めての方・平日のみ・指名なし) |
| 追加料金型 | 「全て込み」のように強調しながら、別に追加料金が発生する旨が分かりにくい | 「体験コミコミ」と書いて、化粧品代や指名料が別にかかる |
| 例外型 | 何らかの例外がある旨が分かりにくいと、例外なしに使えると受け取られる | 「全メニュー対象」と書いて、一部のメニューは対象外 |
同じ資料は、定期購入の契約で初回の価格の安さを強調する一方、解約の条件が分かりにくい場合、契約期間内の総額について誤認されると考えられる、ともしています[3]。体験の後に回数券やコースを勧める店は、体験価格のそばに「体験の後にコースのご案内をすることがあります。契約は任意です」と書いておくと、受け止め方の食い違いを減らせます。
スマートフォンでの見え方の確かめ方はホームページのスマホ対応を確認する方法と直し方の順番も参考にしてください。
体験の後にコースを勧めるときは、何を確かめる?
エステで体験の後にコースを勧めるときは、そのコースが期間1か月超・金額5万円超の特定継続的役務提供にあたるかを最初に確かめます[5]。
消費者庁の「特定商取引法ガイド」によると、エステの契約は期間1か月超・金額5万円超で特定継続的役務提供の対象になります[5]。美容医療にあたるものは除かれます[5]。金額は、入学金・施術料・関連商品の販売などを含む契約金の総額で判断します[5]。
| 対象になったときの主な決まり | 内容 |
|---|---|
| 書面 | 契約前の概要書面(役務の内容、対価、提供期間、クーリング・オフ、中途解約など)と、契約後の契約書面 |
| クーリング・オフ | 書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録で解除できる |
| 中途解約の上限 | 施術を始める前は2万円。始めた後は、提供済みの施術の対価に「2万円または契約残額の10%に相当する額のいずれか低い額」を加えた額 |
| 誇大広告等の禁止(第43条) | 著しく事実に相違する表示、著しく優良・有利と誤認させる表示の禁止 |
体験ページにコースの価格も載せるなら、回数・期間・総額・1回あたりの金額・中途解約の扱いを同じ場所に書きます。「1回あたり〇円」を大きく出す場合は、総額と回数を同じ大きさに近い文字でそばに書くと、総額の誤認を避けやすくなります。「体験当日のご契約で〇%オフ」のように、その場の契約を急がせる書き方は、割引の基になる価格が実際に受け付けていた価格かどうか(8週間のルール)も問われます。
特商法に基づく表記が要るかどうかは特商法の表記は必要?判定表と書き方で確かめられます。体験ページに来たのに申込みにつながらない原因の切り分けはホームページにアクセスはあるのに問い合わせが来ない?にまとめています。
エステの初回価格を表示するまでの手順
エステの初回価格は、価格の台帳をつけてから比べる価格を決め、条件と別料金を書き、スマートフォンで見て公開する順で表示します[1]。
- 価格の台帳をつける
メニューごとに、いつからいつまで、いくらで載せていたかを記録します。予約サイト・店頭・ホームページの別も書きます。8週間のルールの根拠になります。 - 比べる価格を決める
台帳で、8週間の過半・通算2週間以上・最後の受付から2週間未満を満たす価格だけを「通常価格」とします。満たさなければ「2回目以降の価格」としてそのまま書きます。 - 条件を1文で書く
「初めての方、1回のみ」「同じメニューの2回目以降は〇円」のように、誰に・何回・どのメニューかを書きます。 - 別料金を書き出す
カウンセリング・化粧品・指名料・延長など、体験価格に含まれない物と金額を並べます。 - 税込の総額にそろえる
表示する価格を消費税込みの総額にします。 - 期限と特典を実際に守る
「〇日まで」「当日のご契約に限り」と書いたら、期限後や翌日以降は特典を付けません。続けるなら表示を変えます。 - スマートフォンで見る
価格・条件・別料金・申込みボタンが同じ画面に入るかを確かめます。 - 価格を変えたら全部そろえる
ホームページ・予約サイト・Googleビジネスプロフィール・チラシの価格を同じ日にそろえ、台帳にも書きます。
迷ったときは「通常価格」と書かずに、初回の価格と2回目以降の価格を条件つきで並べる形にすると、比べる価格の根拠を問われにくくなります。判断がつかない表示は、所管の消費者庁や都道府県の景品表示法の担当窓口、専門家に確かめてください。
ネイルサロンや美容室など同じ美容の業種で、写真に料金を載せるときの決まりはネイルのデザイン写真、Instagramとホームページでどう分ける?で扱っています。料金を含むよくある質問の書き方はFAQページの作り方:検索とAI検索に使われる書き方も参考にしてください。
よくある質問
- 「初回50%オフ」と割引率だけを書くのは問題ありますか?
- 価格表示ガイドラインは、割引率や割引額の表示も基本的に二重価格表示と同じ考え方で見るとしています。割引の基になる価格が実際に受け付けていた価格か、適用される条件は何かを、割引率のそばに書きます。基になる価格をセール直前に引き上げて割引率を出すことは、不当表示にあたるおそれのある例に挙げられています。
- 体験価格をずっと続けていても問題ありませんか?
- 体験価格そのものを長く続けることは禁止されていません。ただし「期間限定」「今だけ」と書きながら続けると、実際と違う表示になります。また、2回目以降の価格で受ける人がほとんどいないのに、その価格を「通常価格」として比べ続けることは、比べる価格の実態を問われるおそれがあります。
- 予約サイトに載せている価格とホームページの価格が違ってもよいですか?
- 掲載先ごとに違う価格を出すなら、どこで予約した人にどの価格が適用されるかを、それぞれの価格のそばに書く必要があります。条件が書かれていないと、高い方の価格を見た人が損をしたと感じる原因になります。そろえられるなら同じ価格にするのが分かりやすい形です。
- 1回だけの体験でも特定商取引法の書面が要りますか?
- 特定継続的役務提供の対象は、期間が1か月を超え、金額が5万円を超えるエステの契約です。期間が1か月以内の1回だけの体験はこの条件にあたりませんが、体験の場でコースを契約する場合は、そのコースが条件にあたるかを確かめ、あたるなら概要書面と契約書面を用意します。
- 8週間の目安を満たしているか、何を残しておけばよいですか?
- メニューごとの価格と掲載期間を記した台帳、その価格で予約を受け付けられた記録(予約システムの設定画面の控えや予約の記録)、価格を変えた日付を残します。比べる価格を表示している間は、根拠をすぐ出せる形で保管しておくと、問い合わせを受けたときに説明できます。
- 「初回無料」と書くときに気をつけることは何ですか?
- 無料の範囲と条件を、無料の文字のそばに書きます。カウンセリングだけが無料で施術は有料、化粧品の購入が前提、といった条件があるなら、それが同じ画面で分かるようにします。消費者庁の打消し表示の資料は、条件が離れた場所にあると気付かれない場合があるとしています。
あなたのサイトは、いま何点?
URLを入れるだけで、検索とAIの回答で見つけてもらうための項目を無料で点検します。登録は要りません。
今のサイトを無料で診断する →ホームページを作りはじめる- 不当な価格表示についての景品表示法上の考え方(消費者庁、平成28年4月1日改定・2026年10月29日確認)
- 景品表示法関係ガイドライン等(消費者庁、2026年10月29日確認)
- 打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)(消費者庁、平成30年6月7日公表・2026年10月29日確認)
- No.6902「総額表示」の義務付け(国税庁、2026年10月29日確認)
- 特定継続的役務提供(特定商取引法ガイド)(消費者庁、2026年10月29日確認)
- 二重価格表示(消費者庁、2026年10月29日確認)
- 有利誤認とは(消費者庁、2026年10月29日確認)
- 令和6年度における景品表示法等の運用状況及び表示等の適正化への取組(消費者庁、令和7年5月29日公表・2026年10月29日確認)