歯科の自費診療をホームページで紹介するには、治療内容・治療期間と回数・標準的な費用・主なリスクと副作用を、治療ごとに同じページへ書くことが条件です。[1]費用は「〇円~」の最低額だけでなく、総額の目安や最低額から最高額までの範囲を税込で示します。説明を別ページへのリンクや小さな文字で済ませる形は認められません。キャンペーンや割引を前面に出す書き方も避けるべきとされています(2026年10月29日確認)。[3]
歯科の自費診療のページは、なぜ書く項目が決まっている?
歯科の自費診療(自由診療)は、もともと広告してよい事項に入っていないため、ホームページで紹介するには限定解除の要件を満たす必要があります。[1]その要件が、治療内容・期間と回数・標準的な費用・主なリスクと副作用の記載です。
医療法第6条の5第3項により、医療機関の広告は、法律と厚生労働大臣の告示で認められた事項(広告可能事項)しか載せられません。[1]広告可能事項とは、診療科名、診療時間、医師の略歴など、医療法と告示が広告してよいと定めた項目のことです。自由診療は一部の例外を除いて広告可能事項に入っていないため、原則として広告できない、というのが出発点です。
そのうえで、ウェブサイトのように患者さんが自分で探して読む媒体には、医療法施行規則第1条の9の2の要件を満たせば広告できる範囲を広げられる仕組みがあります。これが広告可能事項の限定解除です。[1]厚生労働省の医療広告等ガイドライン(2026年3月30日最終改正)は、自由診療に③④の要件を置いた理由を説明しています。自由診療は「その内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため」、料金等のトラブルを防ぐ観点から、というものです。
自費の治療を載せる場所で、決まりが変わる
載せる場所で分かれるガイドライン第3-2・第3-3をもとにした概念図です。未承認の装置・薬を使う場合は、さらに5つの記載が要ります。
限定解除とは別に、告示で広告が認められている自由診療もあります。ガイドライン第3-2が示すのは次の2つです。[1]
- 保険診療と同じ手技の自由診療(美容などの目的で保険が使えないもの)。ガイドラインの具体例に「顔のしみ取り」「イボ、ホクロの除去」と並んで「歯列矯正」があります。
- 医薬品医療機器等法の承認・認証を得た医薬品・医療機器を、その承認等の範囲で使う治療。
どちらも、公的医療保険が適用されない旨(「全額自己負担」「保険証は使えません」「自由診療」等)と標準的な費用を併記する場合に限って広告できます。[1]チラシや看板、広告枠で自費の治療に触れるときは、こちらの決まりが基準になります。歯科は、インプラント・矯正・セラミック・ホワイトニングなど自費の治療が多い診療科です。厚生労働省の事例解説書(第6版)でも、自由診療の限定解除の不備の例の多くが歯科のインプラントのページで示されています。[3]医療以外の業種の広告の決まりとの違いは、業種別の広告規制の早見表で比べられます。
限定解除の4つの要件は、自費のページでどう満たす?
歯科の自費のページでは、限定解除の4要件のうち③と④(治療内容・費用と、主なリスク・副作用)を治療ごとに書くことが中心になります。[1]①と②は、ホームページの作りと問い合わせ先で満たします。
| 要件(ガイドライン第3-3) | 自費のページでの満たし方 | 満たさない例 |
|---|---|---|
| ① 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告 | 医院のホームページの治療ページに置く | リスティング広告・バナー広告 |
| ② 問い合わせ先の明示 | 問い合わせを受ける電話番号・メールアドレスを書く | 「予約専用」だけの番号、自動音声だけで折り返しのない番号、自動返信だけのメール |
| ③ 通常必要とされる治療等の内容、費用等の情報 | 治療内容・標準的な費用・治療期間と回数 | 治療名と最低額だけ |
| ④ 主なリスク、副作用等の情報 | 治療ごとの主なリスク・副作用 | 利点だけ、または「心配ありません」 |
①について、厚生労働省の事例解説書は、一般的なウェブサイト(リスティング広告、バナー広告を除く)であれば原則として満たすとしています。[3]ガイドラインは、インターネット上のバナー広告や、費用を払って検索結果に表示させるものは①を満たさないとしています。[1]検索の広告から自費のページへ案内する場合、広告の文そのものは限定解除に頼れません。広告文に「インプラント〇円」と書くなら、告示の範囲(保険が使えない旨と標準的な費用の併記)で書けるかを確かめます。
②の問い合わせ先には、Q&A(Q6-10)に細かい答えがあります。予約専用である旨だけが書かれ、問い合わせ可能である旨の記載がない電話番号は、要件を満たしているとは認められないとされています。[2]自動音声だけで折り返しのない番号や、受付の自動返信だけで答えのないメールも同じです。自費のページには「この治療についてのご質問は〇〇へ」と、質問を受ける窓口を書きます。
③④の書き方は、Q&A(Q6-11)で「患者が容易に視認できることが必要」とされています。[2]容易に視認できない例として挙げられているのは、文字が極端に小さいもの、背景と同じ系統の色の文字、意図的に情報量を増やして必要事項を見逃すおそれがあるもの、の3つです。患者の求めがあれば、同じ内容を紙などで渡すことが望ましいともされています。
なお、医薬品や医療機器の販売名(商品名)は、Q&A(Q2-15)で原則として広告できないとされ、限定解除の要件を満たしたウェブサイトでは限定を解除できるとされています。[2]医療機器のメーカー名は広告できますが、販売名や型式番号は広告できないとされています(Q3-12)。インプラントやマウスピース型矯正装置の商品名を見出しに大きく出す場合は、そのページが限定解除の4要件を満たしているかを先に確かめます。
治療内容・期間・回数は、どこまで細かく書けばよい?
歯科の自費のページの治療内容は、検査・診断から治療の終わりまでの流れを順に書き、期間と通院回数は標準的な数字で書きます。[1][3]「状態により異なります」だけでは足りないとされています。
ガイドラインは③について、名称や最低限の費用だけを紹介して誤認させることを戒めています。そのうえで「通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載し」と求めています。[1]事例解説書(28)が「限定解除要件を満たしていない」とした書き方と並べると、線引きが見えます。[3]
| 項目 | 満たしていないとされた例(事例解説書) | 書く内容 |
|---|---|---|
| 通常必要とされる治療内容 | 「当院では3種類の方法でインプラント治療を行っております」「まずはご来院ください」 | 検査・診断、骨の量が足りないときの骨の移植、埋入手術、二次手術、仮歯、最終的な歯までの流れを順に |
| 治療期間・回数 | 「治療期間は患者様の状態により異なります」 | 標準的な期間と通院回数(例:約6か月・10回)。幅があるなら幅で |
| 標準的な費用 | 「料金は患者様の状態により異なります」、「インプラント150,000円~」のように最低額だけ | 工程ごとの金額と総額の目安。最低額から最高額まで |
| 主なリスク・副作用 | Q&A形式で「手術中は麻酔が効いていますので、心配ありません」とだけ答え、利点を並べる | 出血、腫れ、痛み、神経麻痺、補綴物の脱落・破折、インプラント周囲炎など |
出典:厚生労働省『医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)』(28)自由診療における限定解除(2026年3月作成・2026年10月29日確認)
事例解説書の改善例では、インプラントの治療内容を、検査、エックス線撮影、骨の移植(必要な場合)、埋入手術、二次手術(必要な場合)、型取りと仮歯、最終的な歯、という工程ごとに説明しています。[3]工程ごとに「何をするか」「なぜ必要か」を1〜2文で書く形です。
期間と回数は、個人差がある治療こそ、標準的な場合の数字を先に出します。そのうえで、長くなる条件を添えます。治療ごとの書き方の例です(数字は架空の例で、相場ではありません)。
| 治療 | 期間・回数の書き方の例 | 長くなる条件として添える例 |
|---|---|---|
| インプラント(1本) | 約〇か月・通院〇回(検査から最終的な歯まで) | 骨の移植が要る場合は+〇か月 |
| 矯正(装置を付ける方法) | 装置の期間 約〇年・調整のための通院 月1回程度、その後の保定の期間 約〇年 | 歯の動き方によって期間が延びることがある |
| ホワイトニング(医院で行う方法) | 1回あたり約〇分・〇回程度 | 元の歯の色や、求める白さによって回数が変わる |
| セラミックの被せ物(1本) | 約〇週間・通院〇回(土台・型取り・装着) | 根の治療が先に要る場合は+〇回 |
事例解説書の動画の章には、歯科のホワイトニングを「毎月1回3カ月程で効果が出ます」「1回¥20,000~¥30,000(歯列等に拠ります)」と、回数・期間・費用の幅を書いた例があります。[3]治療内容を書くときは、結果の感想(「きれいになります」「若々しい印象に」)ではなく、何をするかを書くのが基本です。治療の効果は広告可能事項ではないため、効果を書くなら限定解除の要件を満たし、求められれば根拠を示して実証できる必要があります(Q2-17)。[2]
自費の料金は、幅・総額・税込のどれで書く決まり?
歯科の自費の料金は、標準的な費用を幅か目安で示し、別にかかる料金も含めた総額の目安を税込で書きます。[1][5]最低額だけの「〇円~」は、事例解説書で不十分な例とされています。[3]
インプラントの料金表:最低額だけの表と、決まりに沿う表
前と後「インプラント 1本 150,000円~」何が含まれ、総額がいくらになるかが分からない
- 自由診療保険が使えない旨
- 検査・診断〇円〜〇円
- 埋入手術〇円〜〇円(麻酔を含む)
- 二次手術〇円〜〇円(要否は状態による)
- 被せる歯〇円〜〇円
- 総額の目安〇円〜〇円(税込)
事例解説書(第6版)の(28)の改善例をもとにした架空例です。金額は入れていません。
| 決まり | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 幅で書いてよい | 標準的な費用は「5万~5万5千円」のような幅や「約〇円程度」でもよいが、窓口で負担する標準的な費用が容易に分かるように示す | 医療広告等ガイドライン 第3-2 |
| 総額の目安を書く | 麻酔管理料や指導料などが別にかかる場合、通常併用する治療がある場合は、それらを含めた総額の目安を書く | 医療広告等ガイドライン 第3-2 |
| 最低額から最高額まで | 標準的な費用が明確でない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む)までの範囲を示す | 医療広告等ガイドライン 第3-3 |
| 保険が使えない旨 | 告示で認められた自由診療を広告する場合は「全額自己負担」「保険証は使えません」「自由診療」等を併記 | 医療広告等ガイドライン 第3-2 |
| 税込の総額で表示 | 消費者に対してあらかじめ価格を表示する事業者は、税込の総額を表示する。例「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」 | 国税庁 No.6902 |
ガイドラインの費用の決まりの根拠は、上の表の右の列のとおりです。[1]国税庁は、総額表示の義務を、消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に税込の総額を示すことと説明しています。[5]表示の例として「11,000円」「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」「11,000円(うち消費税額等1,000円)」「10,000円(税込価格11,000円)」を挙げています。
消費税について、国税庁は健康保険法などによる医療を非課税取引とする一方、「美容整形や差額ベッドの料金」は非課税取引に当たらないとしています。[6]自費の歯科治療に消費税がかかるかは、治療の内容によって整理が必要です。料金表を作る前に税理士に確かめ、かかるものは税込の総額で表示してください。
費用を太字や下線で分かりやすく示すことは、Q&A(Q2-5)で差し支えないとされています。[2]費用は患者にとって有益な情報の1つだから、という理由です。一方で、同じQ&Aは「費用を前面に押し出した広告」は品位を損ねるものとして厳に慎むべきとしています。料金の表は分かりやすく、ただしページの最初に料金だけを大きく打ち出さない、というのが線引きの目安です。
料金を見直したら、治療ページ、料金一覧、症例写真の説明欄、SNSの固定投稿の4か所を同じ日に直します。症例写真の費用の書き方は歯科医院のホームページで症例写真を載せられる条件で扱っています。
主なリスク・副作用は、どこまで書けば要件を満たす?
歯科の自費のページのリスク・副作用は、その治療で起こりうる主なものを並べ、利点と同じ大きさ・同じページで書くことで要件を満たします。[1]デメリットを2点だけ挙げる程度では足りないとされています。[2]
ガイドラインは④について、主なリスクや副作用を分かりやすく載せるよう求めています。自由診療は「その利点や長所のみが強調され、その主なリスク等についての情報が乏しい場合には」、適切な選択ができないおそれがあるためです。[1]Q&A(Q6-12)は、デメリットとして2点だけを挙げた例について「上記のような記載のみでは、限定解除要件を満たしているとは認められません」と答えています。[2]
事例解説書に載っている歯科の例を並べます。[3]
| 治療 | 事例解説書の例に書かれたリスク・副作用など | どの事例か |
|---|---|---|
| インプラント | 出血、腫張、疼痛、青痣、神経麻痺、補綴物の脱落、破折、インプラント体の破折、咬合違和感、インプラント周囲炎等 | (22)ビフォーアフター写真の改善例 |
| インプラント | 治療費が高額で治療期間が比較的長い、外科処置に伴う痛み・腫れ・出血・合併症の可能性、お手入れ次第で感染することがある、食べ物が詰まりやすくなることがある | (28)自由診療における限定解除の例 |
| ホワイトニング | 知覚過敏や色ムラが生じる場合がある | (47)動画のビフォーアフター写真の例 |
事例解説書(28)は、リスクをQ&Aの形で「手術中は麻酔が効いていますので、心配ありません。術後の痛みはありますが2~3日でひきます」と答え、続けて利点を並べた例を、要件を満たしていない例に挙げています。[3]リスクの欄で安心させる言葉を重ねると、リスクの情報として読まれにくくなります。
実務では、院内で患者さんに渡している説明書や同意書のリスクの欄と、ホームページの記載をそろえるのが確実です。説明書にあってホームページに無い項目があれば、ホームページに足します。治療ごとのページに「この治療の主なリスク・副作用」という小見出しを置き、利点の小見出しと同じ大きさで並べます。
リスクの置き場所には、2つの決まりがかかります。
- ガイドライン:③④の情報を、リンクを張った先のページや、利点や長所と比べて極端に小さな文字で載せる形式は採用しないこととしています。[1]
- 事例解説書(22):症例写真について、画像などをクリックしなければ詳細な説明が表示されないものを、広告できない例に挙げています。[3]
折りたたみ(開くと中身が出る欄)そのものを禁じる文は、ガイドラインにありません。ただし、利点を開いたままにして、リスクの欄だけを閉じる形は避けます。読む人が開かなければリスクを目にしないため、事例解説書の「クリックしなければ表示されない」形と同じ問題が生じるからです。利点もリスクも同じ形で開いておくのが確実です。
インプラント・矯正・ホワイトニング・セラミックで違う注意点は?
歯科の自費の治療は、インプラントは承認品かどうか、矯正は医療費控除の書き方、ホワイトニングは特定商取引法、セラミックは呼び方に、それぞれ注意が要ります。[2][4][7]
インプラント
- 医薬品医療機器等法で承認されたインプラントなら、保険が適用されない旨と標準的な費用を併記して広告できます(Q3-9)。
- 限定解除のページでは、工程ごとの費用と総額、期間、主なリスクを書きます。
- 「インプラント科」は診療科名として広告できません(ガイドライン)。
歯列矯正
- 保険診療と同じ手技の自由診療の具体例として、ガイドラインに「歯列矯正」があります。
- 医療費控除は、子どもの不正咬合の矯正のように、年齢や目的から必要と認められる場合は対象です(国税庁 No.1128)。
- 容ぼうを美化するための費用は対象外です。
未承認の装置・薬を使う治療
- 未承認であること、入手経路、国内承認品の有無、海外での安全性の情報、救済制度の対象外であること、の5点を追加で書きます(ガイドライン第3-3)。
- 適応外使用も、未承認と同じ扱いです(Q2-14)。
ホワイトニング
- 「審美治療」とひとまとめにした表現は広告できません(Q3-18)。
- 承認を得た医薬品を使い、自由診療である旨と標準的な費用を書けば広告できます(Q3-18)。
- 期間1か月超・金額5万円超の契約は、特定商取引法の書面交付とクーリング・オフ(8日以内)の対象です(消費者庁)。
セラミックなどの被せ物
- 「審美歯科」は診療科名として広告できません(ガイドライン)。
- 金やポーセレンを使った治療の対価は、医療費控除の対象です(国税庁 No.1128)。
- 通常の水準を著しく超える費用は、対象外とされています。
根拠のうち、ガイドラインは「インプラント科」「審美歯科」を、法令に根拠のない名称として診療科名に使えない例に挙げています。[1]Q&A(Q3-18)は「審美治療」について、様々な治療の方法が含まれ、どの治療を提供するのかが明確でないため広告できない、としています。[2]
未承認品と同じ扱いになるものに、適応外使用があります。適応外使用とは、承認を受けた医薬品・医療機器を、承認された効能・効果や用法・用量と違う目的で使うことです。Q&A(Q2-14)は、承認された効能・効果がない目的で使う場合、広告の取り扱いも未承認医薬品等と同様としています。[2]歯科で使う薬剤や材料について、承認の範囲で使っているかが分からない場合は、取り扱いの業者に添付文書を確かめてからページを書きます。
医療費控除に触れる場合は、国税庁の基準を言い換えずに書きます。国税庁は、歯列矯正について「歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります」としています。一方で「容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません」とも書いています。[4]ページでは「医療費控除の対象になる場合があります(国税庁の基準による)」のように条件付きで書き、対象になると言い切らないのが安全です。
ホワイトニングの回数券やコース契約を扱う医院は、特定商取引法の決まりも料金ページの書き方に関わります。消費者庁の特定商取引法ガイドは、美容医療の特定継続的役務に「歯牙を漂白するための医学的処置」を含め、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約を対象としています。[7]中途解約は、役務の提供開始前なら2万円、開始後は提供した分の対価に加えて5万円か契約残額の20%のいずれか低い額が、事業者が請求できる上限とされています。[7]特定商取引法の表記が要るかどうかは特商法の表記は必要?判定表と書き方で確かめられます。美容サロンのホワイトニングとの線引きは、エステサロンの広告で使えない言葉も参考になります。
キャンペーン・モニター価格・分割払いは書いてよい?
歯科の自費の料金でキャンペーンやモニター割引を前面に出す書き方は、医療広告等ガイドラインで品位を損ねる広告として慎むべきとされています。[1]費用そのものを分かりやすく示すことは問題ありません。[2]
ガイドラインは、費用を強調した広告の具体例として次の5つを挙げています。[1]
- 今なら○円でキャンペーン実施中!
- 「ただいまキャンペーンを実施中」
- 「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」
- 「○○100,000円50,000円」
- 「○○治療し放題プラン」
事例解説書(34)は、さらに細かい注意事例を3つ挙げています。[3]
| 注意事例(事例解説書(34)) | 改善の方向 |
|---|---|
| 期間限定のキャンペーンで、通常価格と割引価格を並べる | 「料金改定のお知らせ」として、改定後の価格を淡々と示す |
| 専用アプリからの予約や会員登録で、各種治療が30%オフになる会員特典を強調 | 割引の特典を前面に出さない |
| 症例モニターとして治療を受けると、通常の費用から割り引かれる旨を強調 | モニター募集の案内で割引額を大きく出さない |
「無料相談」は、Q&A(Q2-12)で、無料で健康相談を実施している旨は広告可能とされています。[2]ただし、ここでも費用を強調した広告は慎むべきとされています。「無料カウンセリング実施中」を大きく出すより、「インプラントのご相談(無料・30分程度)」のように内容と時間を書くほうが、読み手にとっての情報になります。ガイドラインは、提供する医療と直接関係のない物の贈呈を誇張することも、品位を損ねる広告の例に挙げています(「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」)。[1]
分割払いやデンタルローンの案内について、ガイドラインに直接の記載は見当たりません。支払い方法の案内そのものは費用の情報ですが、「月々〇円から」を大きく打ち出すと、総額が分かりにくくなり、費用を強調した広告にも近くなります。分割の案内をする場合は、総額と手数料(金利)が分かる形で、治療の説明より目立たない位置に置くのが無難です。
料金を下げる場合の知らせ方は、事例解説書の改善例が参考になります。期間限定の割引として新旧の価格を並べるのではなく、「料金改定のお知らせ」として、いつから、どの治療が、いくらになるかを示す形です。[3]改定の前後で治療の内容や含まれる工程が変わる場合は、それも同じお知らせに書きます。値下げの幅を大きな字で強調しないことも、費用を前面に出さないための工夫です。
キャンペーンをやめる場合は、ページの文言だけでなく、古い割引の案内が残っていないかも確かめます。トップページのスライド、バナー、SNSの固定投稿、Googleビジネスプロフィールの投稿です。
自費のページで使えない言葉は?書ける言い方との対訳
歯科の自費のページでは、「痛くない」「最先端」「審美治療」「どなたでも受けられます」などの表現が、厚生労働省のQ&Aで広告できない例とされています。[2]料金や期間を正しく書いても、宣伝の言葉で違反になることがあります。
| 例 | 書ける例 | 書けない例 | Q&A・事例解説書の判断 |
|---|---|---|---|
| 例1 | 歯を削る量をできるだけ少なくする治療を行っています | 歯を削らない痛くない治療(99%以上の満足度) | 「痛くない治療」は科学的根拠がなく虚偽・誇大のおそれ。「99%の満足度」は求められれば合理的な根拠を示して実証できる必要(Q3-22) |
| 例2 | ホワイトニング(承認医薬品を使用・自由診療・標準的な費用〇円) | 審美治療 | どの治療を提供するか明確でなく誤認のおそれ(Q3-18) |
| 例3 | 〇年に導入した〇〇(一般的な名称) | 最先端の設備 | 「最先端」「最適」は誇大広告(Q2-2)。「最新」は事実と認められる範囲に限る(Q2-1) |
| 例4 | 地域の皆さまのお口の健康を支えます | 地域で最良のインプラント治療 | 「最良」「最上」は比較優良広告(Q2-3) |
| 例5 | 治療期間は標準で約〇か月です | 当院に来れば、どなたでもインプラントが受けられます | 診察の結果で治療内容が決まるため、虚偽広告(Q2-7) |
| 例6 | 仮歯の装着までを当日に行う場合があります(その後の通院〇回) | 即日インプラント(すべての治療が1日で終わるように読める書き方) | 定期的な通院が必要なのに1日で終わると書く例は、事例解説書で治療内容・期間の虚偽広告の例 |
| 例7 | 短時間で終わる処置です(約〇分) | プチ矯正で手軽にきれいに | 短時間・負担が少ない・費用が手軽といった印象を与える表現は、事実を不当に誇張していれば誇大広告の可能性(Q2-4) |
表の判断は、厚生労働省のQ&Aと事例解説書によります。[2][3]このほか、「当院のインプラント手術の成功率は97.5%です」のような数字は、事例解説書(2)で「データの根拠を明確にしない調査結果」として虚偽広告の例に挙げられています。[3]数字を出すなら、集計の期間・対象・定義を併記し、求められたら示せる記録を残しておきます。
ホームページに「医療広告ガイドラインを遵守しています」と大きく書くことも、Q&A(Q6-13)で、過度な記載は誇大広告に該当する可能性があるとされています。[2]院長の経歴や専門医の資格の書き方にも細かい決まりがあり、院長紹介の経歴と専門医資格の書き方で扱っています。患者さんの声を自費のページに添えたい場合は、クリニックのホームページに口コミや体験談を載せられない理由を先に読んでください。
自費の治療ページは、どんな並びで組むとよい?
歯科の自費の治療ページは、治療の説明、期間と費用とリスク、よくある質問と問い合わせ先の順に、1ページで読める並びにすると要件を満たしやすくなります。[1]ガイドラインは、必要な情報をリンク先に置く形を避けるよう求めているためです。
自費の治療ページの組み立て
1ページの並び- 1どんな治療か
- 2向いている状態
- 3治療の流れ(工程ごと)
- 4期間・通院回数
- 5費用(工程ごとと総額・税込)
- 6主なリスク・副作用
- 7よくある質問
- 8問い合わせ先(質問を受ける窓口)
限定解除の要件にあたる項目を、利点と同じページ・同じ大きさで並べるための並びの例です。
図の8項目を、インプラントのページに当てはめた例です(内容は架空の例)。
- どんな治療か:歯を失った部分の顎の骨に人工の歯の根を埋め、その上に歯を作る治療であること。自由診療であること。
- 向いている状態:診察と検査の結果で、行えるかどうかが決まること。骨の量などで別の方法を勧める場合があること。
- 治療の流れ:検査・診断、骨の移植(必要な場合)、埋入手術、二次手術(必要な場合)、型取りと仮歯、最終的な歯、定期的な検査。
- 期間・通院回数:標準で約〇か月・〇回。骨の移植が要る場合は+〇か月。
- 費用:工程ごとの金額の幅と、総額の目安(税込)。定期的な検査の費用。
- 主なリスク・副作用:院内の説明書と同じ内容。
- よくある質問:治療中の食事、仕事を休む必要があるか、治療後の手入れ、保証の有無と条件。
- 問い合わせ先:この治療について質問できる電話番号・メールアドレスと受付時間。
「どなたでも受けられます」のように、診察の前から治療を約束する書き方は、Q&A(Q2-7)で虚偽広告に当たるとされています。[2]2つ目の項目で、診察と検査の結果で決まることを先に書いておくと、この点も満たせます。保証(治療後に不具合が出たときの再治療など)を書く場合は、期間・条件・対象外になる場合を具体的に書き、「一生もの」のような言い方は避けます。
保険の治療と自費の治療が並ぶときは、どう書き分ける?
歯科で保険と自費の両方の選択肢がある治療は、どこからが自由診療になるかを書き、自費の部分にだけ限定解除の4項目をそろえるのが分かりやすい書き方です。[1]保険診療の治療内容は、告示で広告できる事項に入っています。
ガイドラインは、保険診療として行われる検査・手術その他の治療の方法を、広告できる医療の内容としています。[1]一方、同じ手技でも美容などの目的で保険が使えない場合は、自由診療である旨と標準的な費用の併記が必要です。被せ物、入れ歯、矯正は、保険の方法と自費の方法が並ぶことが多い治療です。
| 書き分けること | 書き方の例 |
|---|---|
| 保険で行える方法 | 保険で使える材料・方法と、その特徴(見た目・耐久性など、事実として説明できる範囲) |
| 自費になる方法 | 自由診療であること、材料・方法、標準的な費用(総額の目安・税込)、期間・回数、主なリスク・副作用 |
| 自費になる条件 | どの材料・方法を選んだ場合に自費になるか |
| 選び方 | 診察で状態を確かめてから、それぞれの方法の説明を受けて選べること |
保険と自費を比べる表を作るときは、自費の方法だけを良く見せる比べ方にならないよう注意します。ガイドラインは、他の医療機関と比べて優良であるとする広告(比較優良広告)を禁じています。[1]治療法どうしの比べ方について直接の記載はありませんが、利点だけを並べる形は、④の「利点や長所のみが強調され」る状態と同じ問題を生みます。比べる表には、自費の方法のリスク・副作用と費用も同じ行に入れます。
保険の自己負担の金額は、負担の割合と治療の内容で変わります。「保険診療(自己負担の目安はお問い合わせください)」と書き、問い合わせ先を添える形が、誤解の少ない書き方です。
自費の治療ページを、検索やAI検索で見つけてもらうには?
歯科の自費の治療ページを検索やAI検索(ChatGPTやGoogleのAIによる概要など)で見つけてもらうには、治療名・期間・費用の幅・リスクを本文の文字で書き、ページごとに1つの治療を扱うことが土台になります。限定解除の4項目をそろえることが、そのまま調べる人の問いへの答えにもなります。[1]
患者さんが自費の治療について調べるときの言葉は、「インプラント 期間」「インプラント 費用 総額」「マウスピース矯正 リスク」のように、治療名と条件の組み合わせになりがちです。限定解除の要件で求められる治療内容・期間と回数・標準的な費用・主なリスクは、この問いにそのまま答える情報です。決まりを守ることと、調べる人に届くことが同じ方向を向いている、と考えると作りやすくなります。
| 整えること | 具体的なやり方 | 関係する記事 |
|---|---|---|
| ページの題 | 治療名と、地域・医院名を入れる(例:インプラント治療の流れ・期間・費用|〇〇市の〇〇歯科) | タイトルタグの付け方 |
| 見出し | 「治療の流れ」「期間と通院回数」「費用(税込)」「主なリスク・副作用」のように、何が書いてあるかが分かる見出しにする | h1・h2・h3の使い方 |
| 料金表 | 画像ではなく文字の表で作る | — |
| よくある質問 | 期間・費用・痛み・通院・保証など、聞かれることに2〜4文で答える。効果を約束しない | FAQページの作り方 |
| 更新日 | 料金や内容を直した日をページに書く | — |
表の右の列の記事は、タイトルタグの付け方と文字数の目安とh1・h2・h3の違いと使い方とFAQページの作り方です。料金表を画像だけで載せると、スマートフォンでは拡大しないと読めず、Q&A(Q6-11)の「容易に視認できる」状態から外れるおそれもあります。[2]
AI検索の回答は、ページの文から要点を抜き出して作られます。費用の文に条件(何が含まれるか、税込か、いつ時点か)が一緒に書かれていないと、条件の抜けた金額だけが伝わるおそれがあります。「インプラント1本の総額の目安は〇円〜〇円(税込・検査から最終的な歯まで・〇年〇月時点)」のように、1文の中に条件まで入れておくと、抜き出されても意味が変わりにくくなります。
自費のページは、どの順番で点検すればよい?
歯科の自費のページは、自費の治療の一覧づくり、4項目の有無、料金の書き方、置き場所、言葉の順に点検すると手戻りが少なくなります。[1]判断に迷う表現は、医院を所管する保健所などの相談窓口に確かめます。
- 自費の治療を一覧にする
インプラント・矯正・ホワイトニング・被せ物など、自費で行っている治療を書き出し、紹介しているページを1つずつ開きます。 - 4項目があるかを見る
各ページに「自由診療である旨」「治療内容」「期間・回数」「標準的な費用(総額の目安)」「主なリスク・副作用」があるかを確かめます。 - 料金の書き方を直す
「〇円~」だけ、「状態により異なります」だけになっていないかを見て、工程ごとの金額と総額の目安を税込で書きます。 - 置き場所を確かめる
費用とリスクが別ページへのリンク、折りたたみ、小さな文字になっていないかを、スマートフォンで確かめます。 - 割引の打ち出しを直す
キャンペーン・会員割引・モニター価格を前面に出している箇所を、トップ・バナー・SNSも含めて直します。 - 未承認品の記載を足す
未承認の装置・薬、適応外使用がある治療に、追加の5項目を書きます。 - 税と契約を確かめる
消費税の扱いを税理士と確かめ、ホワイトニングのコース契約などは特定商取引法の書面を整えます。 - 問い合わせ先を確かめる
質問を受ける電話番号・メールアドレスが、各ページから分かるかを確かめます。
点検のあとに残る判断(この表現は使えるか、この料金の幅で足りるか)は、保健所などの医療広告の相談窓口に確かめてください。相談するときは、ページのURL、画面の写し、迷っている点を1文で書いたものを用意すると話が早く進みます。開院の前に自費のページを用意する場合は、開業医のホームページを開院の何か月前に公開するかも参考になります。スマートフォンでの見え方はホームページのスマホ対応を確認する方法で確かめられます。
よくある質問
- 歯科のホームページのトップに「インプラント 1本〇〇円~」と大きく書いてもよいですか?
- 最低額だけを示す書き方は、厚生労働省の事例解説書で限定解除の要件を満たしていない例として挙げられています。トップページで料金だけを大きく出すと、ガイドラインの「費用を前面に押し出した広告」にも近くなります。総額の目安と期間・リスクを、治療のページにそろえて書いてください。
- 歯科の保険診療の料金も、自費と同じように書く必要がありますか?
- 限定解除の要件③④は、自由診療に限った決まりです。保険診療には同じ要件はありませんが、保険と自費の両方がある治療(被せ物など)は、どこからが自費になるかを書いておくと問い合わせが減ります。自費に切り替わる条件と、そのときの総額の目安を並べて書く形が分かりやすくなります。
- デンタルローンや分割払いをホームページで案内してもよいですか?
- 支払い方法の案内そのものを禁じる記載は、医療広告等ガイドラインに見当たりません。ただし「月々〇円から」を大きく打ち出すと、費用を強調した広告に近くなります。総額と手数料が分かる形で、治療の説明より目立たない位置に置くのが無難です。
- 自費の料金を改定したら、ホームページのどこを直せばよいですか?
- 治療ごとのページ、料金一覧、症例写真の説明欄、SNSの固定投稿の4か所が残りやすい場所です。症例写真の説明に書いた費用は当時の料金のため、「〇年〇月時点の料金」と添えるか、現在の料金に合わせて書き直します。Googleビジネスプロフィールの投稿に古い料金が残っていないかも確かめます。
- インプラントのメーカー名や商品名をホームページに書いてもよいですか?
- 厚生労働省のQ&Aでは、医療機器のメーカー名は広告できる一方、販売名や型式番号は広告できないとされています。ただし、限定解除の要件を満たしたウェブサイトでは、販売名についても限定を解除できるとされています。商品名を出すページは、治療内容・費用・期間・リスクがそろっているかを先に確かめます。
- 歯科の自費の料金表は、画像で作ってもよいですか?
- 料金表を画像だけで載せると、スマートフォンでは拡大しないと読めず、検索のしくみも文字として読み取りにくくなります。医療広告等Q&Aは、限定解除の要件の記載は患者が容易に視認できることが必要としています。料金表は文字の表で作り、画像を使う場合も同じ内容を本文に書いておきます。
- ホワイトニングの回数券を販売するとき、ホームページに何を書けばよいですか?
- 回数・総額・有効期間・1回あたりの費用・主なリスクを書きます。消費者庁の特定商取引法ガイドは、歯牙の漂白を美容医療の特定継続的役務に含め、期間1か月超・金額5万円超の契約を対象にしています。対象になる契約では、書面の交付やクーリング・オフ、中途解約の決まりも案内の中身に関わります。
- 「無料カウンセリング」と書いてもよいですか?
- 医療広告等Q&Aでは、無料で健康相談を実施している旨は広告可能とされています。ただし、費用を強調した広告は品位を損ねるものとして慎むべきとされています。「インプラントのご相談(無料・約30分)」のように、内容と時間を書く形にすると情報として伝わります。
- 他の医院より安いと書いてもよいですか?
- 医療広告等ガイドラインは、他の病院や診療所と比べて優良である旨の広告(比較優良広告)を禁じています。「地域最安」「他院より安い」のような書き方は避け、自院の費用を工程ごとと総額で示すことに絞ります。料金の安さより、何が含まれているかを書くほうが、読み手が比べやすくなります。
- 子どもの矯正は医療費控除の対象とホームページに書いてもよいですか?
- 国税庁は、発育段階の子どもの不正咬合の矯正のように、年齢や目的から必要と認められる歯列矯正の費用は医療費控除の対象とし、容ぼうを美化するための費用は対象外としています。ページでは「対象になる場合があります(国税庁の基準による)」と条件付きで書き、個別の判断は税務署や税理士に確かめるよう案内するのが安全です。
あなたのサイトは、いま何点?
URLを入れるだけで、検索とAIの回答で見つけてもらうための項目を無料で点検します。登録は要りません。
今のサイトを無料で診断する →ホームページを作りはじめる- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)(厚生労働省、2026年3月30日最終改正・2026年10月29日確認)
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(厚生労働省、2026年3月改定・2026年10月29日確認)
- 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)(厚生労働省、2026年3月作成・2026年10月29日確認)
- No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月29日確認)
- No.6902 「総額表示」の義務付け(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月29日確認)
- No.6201 非課税となる取引(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月29日確認)
- 特定継続的役務提供(特定商取引法ガイド)(消費者庁、2026年10月29日確認)