国税庁は、ホームページの制作費をどう扱っている?
2026年10月22日に国税庁のサイトを調べた範囲では、ホームページの制作費だけを取り上げたタックスアンサーや質疑応答事例は見つかりませんでした。税理士向けの事例データベース(税務研究会)には、「以前国税庁のホームページで、ホームページの作成費用は、原則としてその支出時の損金として取り扱うのが相当との見解があった」とする質問が載っていますが、その見解は現在の国税庁サイトでは確かめられません。
そこでこの記事では、国税庁が今公開している一般の決まり(タックスアンサー・通達・手引き)に、ホームページの費用を当てはめて整理します。支出の中身ごとに分けると次のとおりです。
| 支出の中身 | 扱い | 科目名の例 |
|---|---|---|
| 情報を載せるページの制作費 | その年の経費 | 広告宣伝費 |
| プログラムで動く機能の開発費 | ソフトウエアなら5年で償却 | ソフトウエア/減価償却費 |
| 開業前に作ったホームページ | 開業費(繰延資産) | 開業費 |
| サーバー代・ドメイン・SSL | その年の経費 | 通信費、支払手数料 |
| 保守・更新・運用アプリの月額 | その年の経費 | 支払手数料、外注費 |
| 公開後の機能の追加・修正 | 修繕費か資本的支出 | 修繕費/ソフトウエア |
表の行ごとの中身と根拠は次のとおりです。
- 店や会社の案内、メニュー・料金、お知らせなど、情報を載せるページの制作費:宣伝のための費用として、その年の経費(必要経費・損金)にする。根拠:国税庁の手引きは、必要経費の例に「広告宣伝費」を挙げている。業務上の費用はその年に債務が確定した額が必要経費(No.2210)
- 予約・決済・会員ログイン・在庫の連動など、プログラムで動く機能の開発費:ソフトウエアに当たる場合は、無形固定資産として耐用年数5年で減価償却。根拠:No.5461(ソフトウエアは減価償却資産。複写販売用の原本・研究開発用は3年、その他は5年)
- 開業の準備として、開業前に作ったホームページ:開業準備のための広告宣伝費は「開業費」(繰延資産)。5年で償却するか、任意の額をその年の経費にできる。根拠:国税庁『白色申告者の決算の手引き(一般用)』31 繰延資産の償却費
- サーバー代・ドメインの更新料・SSL:毎年・毎月の費用として、その年の経費。1年以内の分の前払いは、継続して同じ処理をすれば支払った年の経費にできる。根拠:所得税基本通達37-30の2、法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)
- 保守・更新作業の月額、運用アプリの月額:その年の経費。根拠:No.2210
- 公開後の機能の追加・修正(ソフトウエアに当たる部分):不具合の除去・現状の維持は修繕費、新しい機能の追加・機能の向上は資本的支出。根拠:法人税基本通達7-8-6の2
出典:国税庁 タックスアンサー No.2210・No.5461、法人税基本通達2-2-14・7-8-6の2、所得税基本通達37-30の2、『白色申告者の決算の手引き(一般用)』(2026年10月22日確認)。表の当てはめは暖簾AIによる整理で、科目名は例です。科目名そのものは、同じ支出に毎年同じ名前を使うことが大切です
予約や決済の機能があると、何が変わる?ソフトウエアと耐用年数
国税庁のタックスアンサー No.5461 は、ソフトウエアを「減価償却資産(無形固定資産)」とし、耐用年数を次のように示しています。
- 複写して販売するための原本、研究開発用のもの:3年
- その他のもの:5年
ホームページに予約・決済・会員ログインなどの機能を組み込み、その開発費がソフトウエアに当たる場合は、ホームページのその部分は「その他のもの」として5年で減価償却することになります。取得価額は、購入した場合は購入の代価に、購入に要した費用と事業の用に供するために直接要した費用を加えた額で、導入の設定作業や軽微な修正の費用も含まれます(No.5461)。
減価償却費の計算は、個人で償却方法を届け出ていない場合は定額法で、使い始めた年は使った月数で按分します(国税庁『白色申告者の決算の手引き』29)。たとえば、ソフトウエアに当たる部分が50万円で、2026年10月に使い始めた場合は次のようになります(5年の定額法の償却率0.200で計算)。
| 年分 | 計算 | 減価償却費 |
|---|---|---|
| 2026年分(10〜12月の3か月) | 50万円×0.200×3/12 | 25,000円 |
| 2027年分〜 | 50万円×0.200×12/12 | 100,000円(毎年) |
計算:暖簾AI。算式は国税庁『白色申告者の決算の手引き(一般用)』29 減価償却費の計算方法による。未償却残高が1円になるまで償却します
1つの見積もりに、情報を載せるページの制作と機能の開発がまとめて書かれていると、どこまでがソフトウエアかを判断しにくくなります。発注の前に、見積書と請求書の内訳を「ページの制作」「機能の開発」「月額の費用」に分けてもらうと、帳簿をつけるときと税理士に相談するときに役立ちます。
金額が小さいときは、一度に経費にできる?10万円・20万円・40万円の線
ソフトウエアなどの減価償却資産でも、取得価額によっては、使い始めた年に全額を経費にできる決まりがあります。個人事業主(所得税)と法人で、国税庁のタックスアンサーの記載は次のとおりです。
| 取得価額 | 扱い | 使える人 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満(または使用可能期間が1年未満) | 全額を使い始めた年の経費にする | 個人・法人 | No.2100、No.5403 |
| 10万円以上20万円未満 | 「一括償却資産」として、3年間で3分の1ずつ経費にできる | 個人・法人 | No.2100、No.5403 |
| 40万円未満(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満) | 全額を使い始めた年の経費にできる。1年の合計300万円まで | 青色申告をする中小事業者(個人)、青色申告をする中小企業者等(法人。2026年4月1日以後の取得は常時使用する従業員400人以下など) | No.2100、No.5408(2029年3月31日までの取得が対象) |
出典:国税庁 タックスアンサー No.2100・No.5403・No.5408(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月22日確認)。貸付け(主要な業務を除く)に使う資産などは対象外になる場合があります
40万円未満の特例は、2026年4月1日以後に取得したものから上限が30万円未満から40万円未満に上がりました。白色申告の個人事業主はこの特例を使えないため、10万円・20万円の線だけになります。
10万円・20万円・40万円の線に当てはめる取得価額に消費税を含めるかは、経理の方式で決まります。税込経理なら消費税を含んだ金額で、税抜経理なら含まない金額で判定し、免税事業者は税込経理になります(国税庁 No.2100)。
ドメインの更新料やサーバー代は、どの科目で経費にする?
ドメインの更新料、サーバー代、SSLの費用は、ホームページを公開し続けるために毎年・毎月かかる費用で、その年の経費にします。科目名は「通信費」「支払手数料」などが使われますが、決まった名前はありません。
注意したいのは、1年分や数年分をまとめて前払いしたときです。国税庁の通達は、まだ提供を受けていない役務に対応する前払費用は原則としてその年の経費にならないとしたうえで、支払った日から1年以内に提供を受ける役務の分を支払い、継続して支払った年の経費にしている場合は、それを認めるとしています(所得税基本通達37-30の2、法人税基本通達2-2-14)。
- 12月にドメインの1年分の更新料を払った:継続して同じ処理をしているなら、払った年の経費にできる
- 3年分のサーバー代をまとめて払った:支払った日から1年を超える期間の分は、この扱いの対象にならない。年ごとに対応する分を経費にする
個人事業主の確定申告はいつ?帳簿で準備すること
所得税の確定申告の期間は、原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 No.2020)。この原則に当てはめると、2026年分の申告は2027年2月16日(火)から3月15日(月)までになります。2027年の受付の案内は、国税庁の発表で確かめてください。
ホームページの費用について、申告までに帳簿でそろえておくものは次のとおりです。
- 制作費の請求書・領収書と、内訳(ページの制作・機能の開発・月額)
- ホームページの公開日(減価償却を始める月になる)
- ドメイン・サーバーの契約期間と支払日(前払いの扱いを決めるため)
- 青色申告か白色申告か(40万円未満の特例を使えるかが変わる)
持続化補助金などの補助金を使ってホームページを作った場合は、補助金の受け取りと経費の扱いが絡みます。補助金の締切と計算は持続化補助金でホームページは作れる?にまとめていますが、税務上の扱いは税理士に確認してください。
次にやることは?
- ホームページの見積書・請求書を開き、「ページの制作」「機能の開発」「月額」に分けて書き出す
- 予約・決済などの機能がある場合は、その金額が10万円・20万円・40万円のどの線に当たるかを確かめる
- 判断に迷う支出を一覧にして、税理士に相談する
この記事は、国税庁が公開している資料(2026年10月22日確認)をもとに一般的な考え方をまとめたものです。実際の処理は、契約の中身・金額・事業の状況によって変わります。個々の判断は、税理士または所轄の税務署に確認してください。
制作費の相場はホームページ制作の費用相場、公開後にかかる費用はホームページの維持費は月額・年間いくら?内訳と管理費の比較方法にまとめています。
よくある質問
- ホームページの制作費は、一度に経費にできますか?
- 情報を載せるページの制作費は、宣伝のための費用としてその年の経費にするのが基本です。予約・決済などの機能の開発費がソフトウエアに当たる場合は、耐用年数5年で減価償却します。ただし取得価額が10万円未満なら全額、青色申告の中小事業者は40万円未満(2026年4月1日以後の取得、年300万円まで)なら全額をその年の経費にできます(国税庁 No.2100・No.5408)。個々の判断は税理士に確認してください。
- ホームページの耐用年数は何年ですか?
- 国税庁のタックスアンサー No.5461 は、ソフトウエアの耐用年数を、複写して販売するための原本・研究開発用は3年、その他は5年としています。ホームページのうち予約・決済などソフトウエアに当たる部分は、その他のものとして5年になります。情報を載せるだけのページの制作費は、その年の経費にするのが基本です。
- 個人事業主のホームページ代は経費になりますか?
- 事業のためのホームページの制作費・サーバー代・ドメインの更新料は、業務上の費用として必要経費になります。国税庁の手引きは、必要経費の例に広告宣伝費を挙げています。開業前に作った場合は開業費(繰延資産)になり、5年で償却するか任意の額をその年の経費にできます。
- ドメインの更新料は、どの勘定科目にしますか?
- 「通信費」「支払手数料」などの科目が使われますが、決まった名前はありません。毎年同じ科目を使います。1年分の前払いは、継続して同じ処理をしていれば支払った年の経費にでき(所得税基本通達37-30の2、法人税基本通達2-2-14)、支払った日から1年を超える分は対象になりません。
- ホームページのリニューアル費用はどう扱いますか?
- 情報を載せるページの作り直しは、その年の経費にするのが基本です。予約・決済などソフトウエアに当たる部分の修正は、不具合の除去や現状の維持なら修繕費、新しい機能の追加や機能の向上なら資本的支出になります(法人税基本通達7-8-6の2)。
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今のサイトを無料で診断する →ホームページを作りはじめる- No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- No.2100 減価償却のあらまし(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- No.2210 必要経費の知識(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- No.2020 確定申告(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合(国税庁、令和8年4月1日現在法令等・2026年10月22日確認)
- 法人税基本通達 第2章第2節第2款(2-2-14 短期の前払費用)(国税庁、2026年10月22日確認)
- 所得税基本通達 〔その他の共通費用〕(37-30の2 短期の前払費用)(国税庁、2026年10月22日確認)
- 法人税基本通達 第7章第8節(7-8-6の2 ソフトウエアに係る資本的支出と修繕費)(国税庁、2026年10月22日確認)
- 白色申告者の決算の手引き(一般用)(国税庁、2026年10月22日確認)
- ホームページの作成費用(税理士懇話会 事例データベース)(税務研究会、2019年9月30日回答・2026年10月22日確認)